千葉市立園生小学校 校長 網野一志 先生 インタビュー

心の教育を積み重ねた歴史ある伝統校「千葉市立園生小学校」

古くは江戸時代から、寺子屋での教育活動が始まっていたという由緒ある園生・小仲台地区。現在でも多くの学校や文化施設が集まる文教エリアとして、落ち着いた環境を保っている。道徳教育モデル校としての指定を受け、35年間に渡って「心の教育」を粛々と行なってきた。そんな「千葉市立園生小学校」の網野先生に、学校の歴史から街の魅力までを語ってもらった。

文教エリアに位置する、明治7年開校の伝統校

「千葉市立園生小学校」校長の網野一志先生
「千葉市立園生小学校」校長の網野一志先生

――概要について教えてください。

網野先生:本校は1874(明治7)年に、「金蔵院」というお寺に開校した歴史のある学校です。2017(平成29)年度は全校で特別支援学級を含めて25学級、合計700名の児童が通学しています。教育目標には「豊かな心・健やかな体・確かな学力」「笑顔いっぱいの園生小学校」を掲げ、児童と職員で日々の教育活動に取り組んでおります。

国の基準では1年生は35人学級、2年生以降は40人学級となっていますが、千葉市は独自で1~4年生までは35人学級、5・6年生は38人学級の少人数制を導入しています。やはり35名クラスですと、担任の目も隅々まで行き届きますし、子どもたちも非常に落ち着いた雰囲気になると感じております。

廊下には、小学校の歴史の長さがよくわかる年表が
廊下には、小学校の歴史の長さがよくわかる年表が

もともと本校は稲毛区の台地にあり、農村地帯から発展していった場所です。近くには「千葉県立千葉女子高校」や「千葉市立千葉高等学校」、「千葉市立小中台中学校」などの教育機関が集まっており、緑が多い静かな文教エリアになっています。その学区の特徴からか、子どもたちは素直で明るく、穏やかな環境のなかでのびのびと育っていると思います。

――1874(明治7)年開校とは歴史ある学校ですね。

網野先生:親子四代で本校に通ったというご家庭もあって、開校144年という歴史の重みを感じます。先日、「家の蔵から出てきた」とOBの方が昔の本校の教科書を持ってきてくださり、学校に寄付してくださいました。

寄贈された昔の教科書
寄贈された昔の教科書

子どもたちにもっと自分たちの学校の歴史を誇りに思ってほしいと、学校に所蔵されていた古い写真をキャビネットに並べ、日常的に子どもたちが見られるところに配置しました。子どもたちは、先輩が使っていた教科書だということがあまり実感ないようですが、学校を訪問してくださった方々は皆さん興味深そうに見てくださいます。

市内でも珍しい小学校と高校の交流

――特徴的な教育活動はありますか?

網野先生:本校のすぐ横にある「千葉市立千葉高等学校」は文科省からスーパーサイエンス校に指定され、理数科も設置されている進学校です。実は私や「千葉市立千葉高等学校」の校長の母校にあたります。そんな縁もあって、昨年から本校の夏休みの水泳指導に水泳部の高校生たちが来てくれて、子どもたちに泳ぎを教えてくれています。学校では個々への細かな指導はなかなか難しいのですが、水泳部の学生が20人ほど来てくれますので、子どもたちはお兄さん・お姉さんに丁寧に楽しく泳ぎを教えてもらっているようです。

小学校と交流のある「千葉市立高等学校」
小学校と交流のある「千葉市立高等学校」

毎年秋に行われる千葉市の陸上大会に向けて、100mや1000mの種目に出場する子どもたちは「千葉市立高等学校」のフィールドを借りて練習したり、走り幅跳びやハードルに出場する子どもは陸上部の高校生に毎朝教えに来てもらったりしていました。

また、今年度から始めた「ぐんぐんタイム」では、“将来先生になりたい”と思っている高校生が子どもたちに勉強を教えてくれる時間も確保しています。小学生と高校生の年齢差のある交流というのは千葉市内でも珍しいですし、小学生からすると高校生は憧れる存在、高校生からすると小学生は慈しむ存在ですので、双方にとってこの交流はよい機会になっているようです。高校生も忙しいとは思いますが、これからも大切にしたい活動です。

――道徳教育に力を入れていらっしゃるようですね。

網野先生:本校は1983(昭和58)年から千葉市教育委員会の指定を受け、これまで35年に渡って道徳の授業研究を行なってきました。本校には「道徳資料室」があり、長年の研究資料はもちろん、各学年の道徳授業で使われる黒板掲示資料や指導案などが置かれており、長きに渡って研究に取り組んで来た成果の積み重ねが詰まっています。

特に平成28・29年度は、「主体的に考え、心豊かに生きる子どもの育成~道徳における協同的な学びの場を通して~」という主題で2年間をかけて研究実践に取り組みました。1年生から6年生まで、それぞれの年齢・学年に合ったテーマを各担任が考え、先生同士も相談し意見を出し合いながら研究を進めました。2017(平成29)年12月7日に本校で行われた研究報告会では、400名を超える方々が本校を訪れ、遠くは岐阜教育委員会からも来てくださいました。

校舎の様子
校舎の様子

当日は保護者の方々にも受付やお客様対応などのお手伝いをいただいたり、近隣の「千葉市立小中台小学校」の先生方や千葉大学教育学部の教育実習に来ていた学生にも協力を仰ぎ、駐車場の誘導などにご協力いただきました。
平成30年度から新しい学習指導要領が導入され、道徳の時間は「特別教科」として授業をしっかりと行うことになります。本校ではこれまで道徳の研究を長らく行なってきた経験を生かし、一層力を入れて授業に取り組んでいきたいと思います。

地域との交流の場でもある「そんのう祭り」

――「そんのう祭り」とはどのような行事なのでしょうか。

網野先生:これは子どもたちが学んでいること、例えば1年生であれば生活科で作ったどんぐりや木の実のおもちゃの展示、3年生は地域で調べたことの発表、5年生は福祉に関する体験や高齢者のインタビューなどを、それぞれのグループでまとめて各教室で保護者の方々に発表するものです。高学年にもなるとパワーポイントを使ってのプレゼンなどもあり、見応えがありますよ。通常の授業参観とは異なり、子どもたちが学習から感じた興味や疑問を自らまとめた成果を見ていただく学習発表会になっているので、保護者の方々にも意義深い行事になっているのではないでしょうか。

読み応えのある楽しい掲示物
読み応えのある楽しい掲示物

また午後にはPTAのバザー、パンやカレーなどの軽食コーナーで子どもたちが買い物や食事を楽しめるようなお祭りを開催しています。地域のスポーツ団体などもお店を出しますし、卒業生や地域の方々にもお声がけして学校に来ていただきますので、保護者や地域の方々、子どもたちの交流の場にもなっています。この午前の学習発表会と午後のイベントをまとめて「そんのう祭り」と呼んでいます。

――特設合唱部があるとお聞きしました。

網野先生:千葉市では珍しい常設の合唱部で、市内に2校しかないそうです。昭和40年代半ばから始まった活動だと聞いています。音楽専科の先生を中心に4年生以上の希望者から編成されており、現在は30人ほどの部員がいます。TBSやNHKのコンクールにも出場しますし、地域行事やお祭りでの発表、さきほどお話した「そんのう祭り」などの学校内行事でも歌を披露しています。子どもたちは力を合わせて協力し合うことの大切さも学んでいると思いますし、聞く側もこの時期独特の澄んだ美しい歌声で非常に癒されます。

静かで落ち着いた文教エリアにこそ育つ素直な子どもたち

――保護者方々や子どもたちの様子について教えてください。

網野先生:この学区のご家庭は、四代続けてというほど古くから地元に住む方々がいらっしゃいますが、一方で、全国各地から転入してきた方々も多くいらっしゃいます。保護者の皆さんは非常に家庭的な方が多く、学校や子どもへの期待も高いように感じます。それが理由かはわかりませんが、学校の活動に協力的かつ積極的に関わってくださいます。またその姿勢が子どもたちにも伝わっているせいか、子どもたちはみな明朗快活、優しい性格の子が多いと感じます。朝の挨拶運動や清掃活動も毎日真面目に積極的に行なっていて、本当に素直な子どもが多いですよ。

廊下にはさまざまな掲示物が並ぶ
廊下にはさまざまな掲示物が並ぶ

――この街の魅力はどんなところでしょうか?

網野先生:やはり稲毛区のなかでも教育機関が集まった、文教エリアというところでしょうか。「千葉市立高等学校」との交流はすでに申し上げましたが、この周囲の中学生・高校生は非常に真面目で、見ていても気持ちがよくなるような雰囲気です。

地域の歴史と共に、学校が歩んできたことがわかる
地域の歴史と共に、学校が歩んできたことがわかる

千葉市の文化施設・文化財の地図を、子どもたちにも分かるように廊下に大きく作ってみましたが、市内の文化施設・文化財はそのほとんどが稲毛区と中央区に集中しています。この学校と同様、この街にも長い歴史があり文化が育ってきたということです。そういう土壌のある街で暮らせるのは、幸せな環境だと言えるでしょう。

小学校周辺には文化施設がたくさん
小学校周辺には文化施設がたくさん

また「稲毛」駅までもさほど遠くありませんし、総武線快速も総武線各駅停車も利用できる便利な駅です。総武快速線を使えば「東京」駅まで35分ほどと、通勤にも通学にも負担がありません。その利便性と落ち着いた住環境が共存する、暮らしやすい街だと思います。

網野一志校長先生
網野一志校長先生

千葉市立園生小学校

校長 網野一志先生
所在地:千葉市稲毛区小仲台9-30-1
電話番号:043-251-8140/8149
URL:http://www.cabinet-cbc.ed.jp/school/es/012/index.html
※この情報は2018(平成30)年3月時点のものです。