スペシャルインタビュー

サッカーを通じて親と子どもそれぞれの成長を応援する「まちのサッカークラブ」

「柏市立柏の葉小学校」を拠点に活動する「まちのサッカークラブ」。サッカーを通じて親と子それぞれの交流を促す活動は、柏の葉という新しい街で生活を送るファミリーにとって多くのヒントを与えてくれそうです。今回は活動を見学させていただき、クラブ設立に込めた想いなどお話を伺って来ました。

―クラブ設立の経緯を教えてください。

小学校のグラウンドなら安全にサッカーができる
小学校のグラウンドなら安全にサッカーができる

「まちのサッカークラブ」通称“まちサカ”は、「柏市立柏の葉小学校」開校の翌年、2013(平成25)年4月に設立されました。保育園時代のパパ友達が中心となり、柏の葉という新しい街に子どもたちが楽しく安全に遊べる場所を作ろうと小学校のグラウンドをお借りして活動したのがはじまりです。

当初は代表を含む有志の父兄4名が、未就学の子どもたちおよそ100人を相手にサッカーを通じて遊びの場を提供していたそうです。当時のその4名は“レジェンド・フォー”と呼ばれ今もその想いが受け継がれているのですが、教育に携わる先生方と同じくらいの情熱をもって子どもたちと接して来たようです。
その後、クラブ運営の考えに共感してくださったご家族やサッカーに興味を持ってくれる子どもも増え、5年目を迎えた現在、登録する子どもたちの人数はおよそ280名になりました。

―クラブの特徴や活動内容について教えてください。

サッカーを楽しんでもらうことが第一の目的
サッカーを楽しんでもらうことが第一の目的

柏市には、Jリーグの「柏レイソル」が運営するサッカースクールをはじめ、全国レベルの大会でも優れた成績を修めるサッカークラブがたくさんあります。「まちサカ」は、未就学児から小学校6年生までを対象に、週1回、日曜日に活動しているのですが、子どもたちにとって楽しく安全に遊べる場というところからスタートしているので、競技志向のクラブとはだいぶ雰囲気が違うと思います。子育てをする地域のお母さん方からは、「柏市内で、ゆるくサッカーができるクラブがあるらしい」と噂されているようです。
サッカーの普及活動においては草の根活動の部分がもっとも大事だといわれていますが、「まちサカ」はその入口の部分の間口が広いのが特徴です。

気軽にサッカーに触れることができる
気軽にサッカーに触れることができる

クラブに入会するためにたくさんのお金を必要としたり、ある程度上手じゃないと続けていくのが難しかったりという状況はサッカーを普及させていくうえでの課題になります。
「まちサカ」は遊びからスタートしているので、まずその点で一般的なサッカークラブとは異なりますし、来られるときだけ来てくださいという基本姿勢なので出欠を確認することもありません。実際、今日活動に参加しているのは登録している約280名のうち100名ほどです。

活動費として未就学児は年間2,000円/人、小学生は年間4,000円/人を頂戴していますが、スポーツ安全保険料(800円)が含まれているので、経済的な部分でも気軽にはじめられると思います。

―クラブの活動を通して大切にしていることは?

年齢も性別も越えて、サッカーを楽しむ
年齢も性別も越えて、サッカーを楽しむ

設立当初から今も変わらず、基本は“楽しく”やりましょうというコンセプトがあって、技術の上手い下手は気にしていません。それよりも「まちサカ」を通じて楽しい時間を過ごしたことが、ある種の成功体験となって、卒業してからもサッカーを続けたいと感じてくれる子どもたちを増やしていければと思っています。

サッカーを始めるきっかけづくり
サッカーを始めるきっかけづくり

小さいときにサッカーが上手だった子が、そのまま上達していくかというとそうでもなく、小さいときにはそれほど目立たなかった子が、高校生くらいになって爆発的に伸びることもあるんですよね。それはひとえにサッカーが好きで続けて来たことによるものだと思います。

―指導に際して心がけていることは?

子どもたちと接する城戸コーチ
子どもたちと接する城戸コーチ

指導については活動を実際にご覧いただくとお気づきになるかと思いますが、有志で参加してくださるお父さんコーチも多くいらっしゃいます。サッカー経験の無い方もいて、技術的なことに限らず子どもたちへの声かけをどうしたら良いかというところから、お互いにさまざまなノウハウを共有するようになりました。
現在各学年をとおしてコーチを務める城戸コーチは、過去に他クラブで指導を学んでいたこともある経験者なのですが、彼が先導して良い流れを作ってくれています。

お父さんコーチとハイタッチを交わす
お父さんコーチとハイタッチを交わす

声のかけ方ひとつをとっても、コーチによって言うことが違うと子どもたちは迷ってしまいます。そこで練習が終わってからお父さん同士が集まって、それぞれ気づいたことを共有するようになりました。すると意思の統一が計れるようになり、より良い雰囲気が生まれてきています。
自分の親では無い別の大人に褒められることは重要で、最初はどうすれば良いか分からず見ているだけだったお父さんコーチが、「○○くん、ナイスプレー!」と声かけをしてくれるようになったことで、子どもたちのやる気を後押ししてくれています。

―女子チームの活動についても教えてください。

女子チームの練習風景
女子チームの練習風景

3年ほど前に女子チームを発足しました。それまでは男子と一緒にサッカーをしていたのですが、異性を意識しはじめる3年生くらいからでしょうか、クラブのなかでもニーズが高まったので立ち上げることになりました。

お互いに高め合える関係
お互いに高め合える関係

全体で10名前後と人数の少ない女子チームですが、学年ごとに分かれて活動をしている男子チームと違い、低学年から高学年までみんな一緒になって活動しているので、自然と仲間意識が強くなるのが特徴です。お姉ちゃんが年少の子の面倒を見たり、褒めてあげたりするのはもちろん、見本として「自分もちゃんとやらなくちゃ!」という気持ちも芽生えます。年少の子はのびのびと安心してプレイでき、年上の子はリーダーとしての自覚を持つなど双方に良い影響があると思います。
活動が終わった後のおやつタイムや女の子同士でじゃれ合う時間も楽しみのひとつのようで、とっても良い雰囲気のなかで活動できているようです。

―通常の活動以外にイベントや行事はありますか?

年に1回、サッカーの練習を組み込んだ合宿をやっています。また高学年になると交流を深めるための野外炊飯を企画して、「柏市青少年センター」でカレー作りをしたこともあります。
他にも年のはじめに「初蹴り」イベントというのがあって、キックターゲットやドリブルのタイムを競うタイムレースなど、遊びの要素を取り入れたものをみんなで楽しみます。
イベントや試合の様子などはfacebookに写真付きで掲載しているので、興味のある方はぜひご覧ください。

―今後の目標や新たな取り組みがあれば教えてください。

多くの子供たちが登録している
多くの子供たちが登録している

おかげさまで現在約280名もの登録者がいて、設立当初から変わらずサッカーを楽しむことを第一に運営を続けられています。今の雰囲気を大切に継続してやっていければというのが本望で、卒業した後もサッカーに親しんでくれればと思います。
現在、柏の葉では新しく住民が増えるのに従って低学年の子どもたちもどんどん増えている状況で、「まちサカ」でも未就学児から2~3年生までが大半を占めるような人数構成になっていて、どんどん年少の子が増えてきています。

子供の成長の場
子供の成長の場

サッカーに親しむ入口としては目的を達成しているのですが、学年が上になるにつれて楽しいだけじゃなくて、やるからには試合に勝ちたい、勝たせたいという親御さんの意見があったり、週1回の練習では足りないという声も実際には上がっています。
当初は校庭の活動だけで、試合は必要無いという考えもあったのですが、試合を経験したことでやる気のスイッチが入った子どももいて、子どもが成長するその瞬間を目の当たりにしたことで気づかされることもありました。

楽しいだけでなく、勝つことを意識
楽しいだけでなく、勝つことを意識

現在は試合に参加する機会が増え、試合に勝つことはモチベーションを維持するうえでも、サッカーを続けていくうえでも必要なことだと認識しています。
今の「まちサカ」の課題は、特に高学年の子どもたちにどうサッカーと向き合ってもらうのかという点で、まだ確定では無いのですが、練習回数も試合も今後増やしていこうかと考えています。
また将来的には「まちサカ」が中心になって大会を開催し、近隣の学校のクラブを招待できたら良いなということも話をしています。

―最後に活動への参加を検討している方々へメッセージをお願します。

副代表の柴田さん
副代表の柴田さん

サッカーが根付いた柏という地域で、まだ創設5年という新しいクラブですが、伝統はこれから作っていくものとして、街の成長と一緒に私たちも成長していければと思っています。
幸いなことに登録者も増え、クラブ運営に積極的に協力頂いている各学年の主担当コーチはじめ、たくさんのアシスタントコーチ達がいる中で、クラブへの参加をご検討いただいているお父さんお母さんに敢えてお伝えしたいことは、子どもたちを応援して一歩の勇気を持たせてあげる関わり方をお願いします、ということです。

城戸コーチ(左)と副代表・柴田さん(右)
城戸コーチ(左)と副代表・柴田さん(右)

サッカーの上手い下手は一切関係なく、褒めてあげることだったり、サッカーが好きになるような働きかけ、きっかけづくりをぜひご家庭でもお願いします。
技術的なことは私たちコーチに任せてもらって、「すごいね」「上手になってきたね」「頑張ってるね」と「やる気」にさせることが大切です。褒められると自主的にボールに触る機会も増えて、自ずとサッカーも上手くなるものです。

サッカーを通して親子で成長する
サッカーを通して親子で成長する

これはサッカーの技術を教えるよりもずっと難しいことで、サッカーに限らず子育て全般に通じることかと思いますが、そこさえきちんとできていれば子どもは成長していくんだなと「まちサカ」の活動を通じて実感しています。

「まちサカ」の活動に関わるお父さんお母さんには皆さんにお伝えしているのですが、指導というのは教えることではなく、やりたいという気持ちにさせることが大切で、私たちお父さんコーチができることと、ご家庭でできることとがそれぞれあって、各ご家庭でのご協力をいただけると本当にありがたいです。
まずは「まちサカ」の活動を見に来ていただいて、楽しそうにサッカーをするお子さんの姿を見てもらえればと思います。活動日や詳細な時間等は公式サイトで随時情報を発信しているのでぜひ一度ご覧ください。

まちのサッカークラブ
代表:荒谷潤さん
副代表:柴田猛夫さん
コーチ:城戸淳一さん

問い合わせ:machisoccer2013@gmail.com
URL:http://www.machino-club.com/club/soccer/-6.html

※2018(平成28)年2月実施の取材にもとづいた内容です。記載している情報については、今後変わる場合がございます。

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