インタビュー

地域とともに子どもたちを育む開校80余年を迎える「真間小学校」

京成「市川真間」駅より徒歩およそ10分の閑静な住宅地に位置する「市川市立真間(まま)小学校」。開校より80余年を迎える歴史ある学校で、落ち着いた雰囲気のなかでおよそ580名の子どもたちがともに学校生活を送っている。学区内には「真間山弘法寺(ままさんぐほうじ)」や「手児奈霊堂(てこなれいどう)」など、万葉の時代から受け継がれてきた歴史や文化について触れられる場所もあり、地域とのつながりも身近に感じられる特色ある環境だ。
2018(平成30)年4月に着任したばかりの石塚浩校長先生を訪ね、真間小学校の印象や地域の魅力についてお話を伺った。

市川市立真間小学校
市川市立真間小学校

開校より84年目を迎える歴史ある「真間小学校」

市川市立真間小学校 石塚 浩 校長先生
市川市立真間小学校 石塚 浩 校長先生

――まず学校の沿革・概要について教えてください。

1933(昭和8)年に現在の「市川小学校」の第二校舎として設立されたのがはじまりです。翌9年に「真間尋常小学校」として独立し、今年で84年目を迎えます。
学校の規模としては市内では標準的ないわゆる中規模校で、児童数はおおむね581名(2018年5月現在)です。ひと学年3学級の計18学級と特別支援学級あすなろが2学級ありますので、全部で20学級になります。

廊下には真間小学校や地域の歴史を伝えるギャラリーがある
廊下には真間小学校や地域の歴史を伝えるギャラリーがある

ここ数年の児童数の推移としては、市内の辺縁部にある学校は減少傾向にあるものの、JR、京成それぞれの沿線地域は新しいマンションの開発などで若い世帯が転入してきていますので、比較的安定していると思います。
また市川市には学区域以外の学校でも通学できる「指定学校の変更」というシステムがあり、その制度を利用して本校に通うお子さんが多くいらっしゃるのも児童数が安定している要因のひとつかと思われます。

――指定学校の変更とは?

市川市では学区が隣接している地域にお住まいの方で、お子さんの通学に負担が無く、なおかつ受け入れ先の学校で対応が可能であれば、学区域以外のお子さんも受け入れていきましょうという弾力的な学区の運用が行われています。
これはいわゆる学校選択制というものではなくて、あくまでお子さんやご家族の負担の軽減や、特別な理由がある場合に認められる制度です。近年は地域で子どもを育てるという視点から学区の弾力的な運用について見直されつつあるようです。

校内には通学路の安全マップの掲示もあり、防犯意識の高さがうかがえる
校内には通学路の安全マップの掲示もあり、防犯意識の高さがうかがえる

思いやりの気持ちを育む縦割りの活動に重点を置いて

――力を入れている取り組みや学校の特色を教えてください。

特色ある取り組みのひとつとして、1~6年生の縦割りの活動を行っています。これまでも縦割りで遠足に行くなど年に数回の取り組みとしてはあったようですが、今年度からは月に一回、異なる学年の子どもたちがグループを作って一緒に遊べるような機会を設けましょうと先生方から提案が上がってきています。
教育目標のめざす子どもの姿にも「思いやりのある子ども(やさしく)」とありますが、今年度は縦割りの活動に重点を置いた取り組みを考えているところです。

里見公園
里見公園

先日も片道2kmほどある「里見公園」まで40分くらいかけてみんなで歩いて行ってきました。低学年の子どもはお兄さん、お姉さんに見守られるなかで感謝や憧れの気持ちを抱き、高学年の子どもは小さい子たちの面倒をみることで高学年としての自覚が芽生えるなど、思いやりの気持ちを育てることにつながっています。

地域の活動の場として活用される校内の「ゆとろぎ相談室」

――地域とのかかわりについてお聞かせください。

学校と地域とのかかわりについてはお話すべきことがたくさんあります。まず真間地区には公民館が無いため、伝統的に本校の2階にある「ゆとろぎ相談室」を開放して社会福祉協議会の活動にご利用いただいています。
「ゆとろぎ相談室」とは、「ゆとり」と「くつろぎ」を合わせた市川市ならではの造語で、市内の小学校すべてに設置されています。

本校の「ゆとろぎ相談室」には畳が敷いてあり、その畳が好評でして、月に一度、赤ちゃんのいる地域のママさんたちが集まることのできる場となっています。いずれも地元の社会福祉協議会が主催する取り組みなのですが、お年寄りを対象とした健康体操や太極拳も行われています。校内でこのような地域の活動が行われていることからも地域とのつながりの深さが感じられます。

畳が敷かれた「ゆとろぎ相談室」
畳が敷かれた「ゆとろぎ相談室」

地域のイベントに参加し「真間の手児奈」の歌を披露

――地域の行事やイベントに関する取り組みはいかがでしょうか?

万葉集にも謳われているところなのですが、学校の北側にある真間の手児奈はご存知でしょうか。詳しい内容については「手児奈霊堂」のHPにもその由来が記されておりますが、「真間山弘法寺」と並んでこの地域の歴史を知る重要な手がかりです。
校長に着任してすぐの4月29日(日)に「手児奈霊堂」に隣接する「真間稲荷神社」で真間の手児奈に関する史蹟まつりがありますので、例年、真間小の子どもたちにも参加してもらいたいという地域からのご要望があって、6年生を対象に募集したところ18名の有志が集まり、「史跡まつり」に参加させていただきました。

手児奈霊神堂
手児奈霊神堂

私も参加させていただいたのですが、午前中は「真間史跡保存会」主催の短歌や俳句、川柳の発表と表彰があって、午後からは勇壮な手児奈太鼓をはじめさまざまな文化的イベントが行われました。
本校の児童は、作詞家であり同窓会の顧問をされている方が作詞した『真間の手児奈』の歌を披露しました。また地域の方を前に自分の好きな和歌を詠むコーナーもあり、貴重な体験になったと思います。なかには映画でも有名になった『ちはやぶる~』の句を選んだ男の子もいましたよ。

地域とともに学校づくりに取り組むコミュニティ・スクールとしての姿

――学校運営における地域や保護者のかかわりは?

一方、日々の学校運営における地域や保護者の皆さまとのかかわりも深く、たとえば「たねまき」という保護者によるボランティアサークルがあり、朝の15分間くらいの時間を利用して月に何回か子どもたちのために読み聞かせをしていただいています。
また先ほどの「ゆとろぎ相談室」には、一週間のうち半分くらいの頻度ですが、ゆとろぎ相談員(ライフカウンセラー)と呼ばれる地域の方に来ていただいて、子どもたちの話し相手になってもらったり、一緒に遊んでもらったりしています。さらにクラブ活動でも、手品やお茶の先生に来ていただいたり、グラウンド・ゴルフでも地域の方にお手伝いただいたりしています。

たくさんの地域の方々が学校運営をサポートしてくださっている
たくさんの地域の方々が学校運営をサポートしてくださっている

市川市では、地域とともに学校づくりに取り組むいわゆる市川版コミュニティ・スクールとしての学校運営が早い段階から進められており、本校においても地域の代表や自治会の方などにお集まりいただいて、学校の取り組みを紹介したり地域の情報交換をする場があるなど、地域のなかで大切に見守られている学校なんだなというのを実感します。

「おはようございます」と丁寧に挨拶をする真間の子どもたち

――真間の地域の特徴や魅力をお聞かせください。

これは学校だけの取り組みによるものではなく、ご家庭や地域性とも大いに関わる部分だと思うのですが、毎朝校門の前で子どもたちに「おはよう」と声をかけていたら、元気な声で挨拶が返ってくるのはもちろん、目と目をちゃんと合わせて挨拶できる子が多いことに気づきました。私の目の前まで来ていったん立ち止まり、「おはようございます」と丁寧にお辞儀をしていくお子さんがいるんです。
これこそまさしく真間の地域性をあらわしているのではないかなと思うんです。何といいますか、心の豊かな家庭で育っているお子さんが多いのかなと感じる瞬間です。

図書館で過ごす子どもたち
図書館で過ごす子どもたち

真間の魅力は他にも、駅から歩いて10分ほどの地域にもかかわらず、ちょっと歩けば緑の豊かな公園があり、そして歴史的・文化的な施設も多いので、子育てをする環境としてとっても恵まれていると思います。

また3世代でお住まいの方も多いこのエリアは昔からの地域のつながりを大切にされている方々が多く、新しくお見えになった方々との関係も良いと伺っています。
開発によってできた新しい街ではなく、古くから集落があり何世代にもわたって生活が営まれてきた場所なので、昔からの良さが今もなお残っているのが市川真間の特色だと思いますね。

地域の方々と一緒になって子どもたちを育てていきたい

――今後の取り組みについてお聞かせください。

今後の取り組みにつきましては、本校の特色として触れた縦割りの活動は子どもたちのつながりを育むという意味でも非常に大切で、継続的にやっていきたいと思っています。
実はこれも校門に立って挨拶をしていたときに目にした光景なんですが、小学生と中学生が声をかけ合っているのを見かけたので、その児童に話を聞いてみたら「1年生のときにペアだったお姉さんだよ」と。今は一人っ子のご家庭も多く、子どもたち同士の縦のつながりがなかなか持てないので、縦割りの活動がこういった関係を築くのは非常に良いことだなと思います。
また地域との関わりの部分では、真間には教育資産と呼べる歴史的、文化的に価値のある場所がたくさんあるので、そのような点からも地域との関わりを深めていきたいなと考えています。

教室の様子
教室の様子

「なぜ都からはるか遠く離れた手児奈の話が広まったのか」このような疑問をもった子は、おそらく国府があったと推定される場所との関係性もそうでしょうし、真間の手児奈を通じて何世代にもわたって大切にされてきた歴史ある地域だということに自然と気づいてくれるものと思います。
子どもたちにはこのような歴史や文化に触れることを通じて、自分の育った地域、ふるさとを大切に思える子どもになって欲しいなと思います。

先日も「史蹟まつり」に行ったときに、短歌や俳句の先生ともお話する機会があり、今後ゲストティーチャーとして関わってくださるというようなお話もいただいております。これからもたくさんの方々に関わっていただいて、地域の皆さまと一緒になって子どもたちを育てていけたらと思っています。

市川市立真間小学校
市川市立真間小学校

市川市立真間小学校

校長:石塚 浩 先生
所在地:市川市真間4-1-1
URL:http://www.mama-syo.ichikawa-school.ed.jp
※この情報は2018(平成30)年5月時点のものです。