UR都市機構首都圏ニュータウン本部 千葉常磐業務部 インタビュー

暮らしやすさと活気を備えた、流山市の新たな拠点づくり。流山おおたかの森「新市街地地区 土地区画整理事業」

現在進行形で開発が進む、「流山おおたかの森」駅周辺エリア。2005(平成17)年のつくばエクスプレス開業に始まり、2007(平成19)年の「流山おおたかの森S・C」開業を皮切りに、次々と利便施設が増え、マンションや戸建住宅の分譲が行われてきたが、10年を経た2015(平成27)年現在、その土地区画整備事業の進捗率は75%を超え、いよいよ終盤に迫ってきた。
今回はこの地域の開発主体となっているUR都市機構(独立行政法人都市再生機構)の現地事務所である千葉常磐業務部を訪ね、事業を俯瞰し調整する立場である佐光清伸さんに、これまでの開発についてや今後目指す街の姿について詳しくお話を伺った。

 

区画ごとに利用目的を分けた計画的な街並みづくり

我々UR都市機構は、この新市街地地区(流山おおたかの森駅周辺)で「土地区画整理事業」という事業手法で開発に取り組む「施行者」として事務所を構えています。もっと広く流山おおたかの森の街づくりという観点からいえば、我々だけではなく、流山市や民間施設、住民の皆さまなど色々な方々と協働して開発を進めています。ですので、今回は事業施行者の立場からお話しさせて頂きます。

UR都市機構首都圏ニュータウン本部 千葉常磐業務部 佐光清伸さん
UR都市機構首都圏ニュータウン本部 千葉常磐業務部 佐光清伸さん

まずこの地区の概要をご説明します。もともと東武アーバンパークラインが南北を横断して通っており、全体的に農用地が多かったと聞いています。小さな宅地開発は以前から幾つかあり、工業地もある、いわゆる「住工混在」というタイプの地域でした。そこに、新しい鉄道計画「つくばエクスプレス(以下、TX)」の話が持ち上がったわけです。このプロジェクトは“首都圏最後の新線”とも呼ばれる大がかりなもので、事業を円滑に進めるために、国が特措法を立ち上げるほどの大きな計画となりました。

開発前の流山おおたかの森エリアの様子
開発前の流山おおたかの森エリアの様子

その沿線の中でも、特にこの流山おおたかの森については、東武アーバンパークラインの乗換え新駅や都心通勤の利便性から、宅地造成の開発需要が強く、計画的なまちづくりが望まれていた地域でした。もっと都心から離れた地域、例えばつくばなどでは需要の種類が異なり、地域内での住み替えの需要などが多いのですが、流山おおたかの森は、新線と東武アーバンパークラインが交わる交通の要衝という利便性の高さも注目され、特に都心で働く若い世代、お子さんのいる子育て世代に需要があると見込んだ開発がスタートしました。現在流山市も「母になるなら流山市。」というキャッチフレーズのもと街のアピールをされていますが、実際にその世代の人口が増えてきており、この地域の特徴が認知されてきたという実感を得ています。

「流山おおたかの森S・C」と駅前の賑わい
「流山おおたかの森S・C」と駅前の賑わい

また、流山市の新しい拠点をここに創造していくという意味で「新市街地」ということもテーマとして挙げています。今までの流山の中心市街地は市役所周辺、古くは舟運で栄えた街であったと聞いています。TX開通により都心直結の路線ができたことによって市の新たな拠点として大きな役割を担うこととなりました。今後予定されている「流山おおたかの森」駅前市有地活用事業では、新設される施設内に一部行政的な機能も入る予定で、さらなる発展に期待しています。

計画の種別に色分けされた、整備計画図
計画の種別に色分けされた、整備計画図

次に、この地区の土地区画整理事業の特色などについて具体的にご説明しましょう。土地区画整理事業は土地を計画的に区画して整理するという意味だけではなく、計画的に街並みを作れるという利点があります。区画ごとに利用目的(ゾーン)を分けて、計画的にまちづくりを行います。新市街地地区(流山おおたかの森駅周辺)に関しては、2つの路線が交わるため多くの乗降客数が見込まれることから、駅に近接する部分は大型のショッピングセンターが立地できるような商業用途を意図した土地利用計画になっています。それが、この事業計画図の赤色の部分に当たります。

計画の種別に色分けされた、整備計画図
計画の種別に色分けされた、整備計画図

TX開通直後に開業した「流山おおたかの森S・C」などの生活利便施設の開発と合わせて、それに続く形で、居住空間を計画的に広げ供給してきたという点が、これまでの開発における特徴といえます。また、駅周辺に大きな公園を設けたことも我々の事業の特色のひとつです。駅近くは地価が高いので、民間開発ではなかなか大規模な公共空間を造ることはできません。こうした開発が、初期のおおたかの森周辺の魅力付けになったと考えています。

インフラ整備は2016(平成28)年度に完了予定

2016(平成28)年の完了に向けて工事が進められている
2016(平成28)年の完了に向けて工事が進められている

我々の事業計画の進捗率(仮換地指定率)は、現時点で75%程度になります。全計画を2016(平成28)年度一杯までに完了させようというのが、現在の事業目標です。なお、「土地区画整理事業」というのは“地べたの事業”ですので、ベースになるインフラ整備が完了するのが2016(平成28)年度末ということで、その時点で街づくりが完成ということではありません。実際にその土地に家や施設などが建っていくのはそれ以降になると思います。駅のデッキに登って見渡してもらえれば分かりますが、特に駅の北側・西側部分についてはまだ整備途中のところが多く見られるかと思いますが、こういったところを現在一生懸命に仕上げているところです。

利便性の高い道路網も魅力に

整備が進む周辺道路
整備が進む周辺道路

道路整備については、千葉県、流山市、UR都市機構のそれぞれが役割分担をしながら順次進めているところです。我々は主に新市街地の事業地区内の道路を担当しており、広域的な道路については、市と県が主にやっています。 当然のことですが、道路計画は地区の利便性を高めるために綿密な配置計画をしています。現在は未整備の道路も多いですが、完成すれば利便性の高い道路網になるかと思います。また、我々が「都市軸道路」と呼んでいるこの地区を縦貫する広い道路についても現在工事中で、既存の県道等の拡幅なども含め着々と整備が進んでいるところです。

魅力的な自然環境を守るために計画の変更も

緑豊かな公園(大堀川水辺公園)
緑豊かな公園(大堀川水辺公園)

自然環境の保護については、開発当初から重視して取り組んでいます。実はこの地区の開発発表と同時に、地区内でオオタカが発見されました。発見された森については当初計画していた事業区域から外して、現在県立公園として県が整備を進めているところです。

そのほかの事業地区内でも、いろいろと希少種が発見されたりしました。たとえば市野野調整池に住む「セイタカシギ」などへの環境配慮もその取り組みの一つなのですが、こういった希少種の保護のため、通常の調整池はコンクリートで周りを固めて掘り下げるのですが、ここでは湿地帯を残すという計画に変えて、工事期間中も鳥が住む場所に困らないように配慮したりと、色々な工夫をしながら進めています。

大堀川防災調節池の案内図
大堀川防災調節池の案内図

千葉県が管理する河川である「大堀川」についても同様に、整備はUR都市機構が行っており、コンクリート等の資材はほとんど使わずに、自然環境をそのまま残すような形で整備を進めているところです。開発地区内の公園比率については「土地区画整理法」という法律上で決まっており、基本は3%以上と定められていますが、我々の開発の場合はそれよりももっと多く、約5%の割合で公園や緑地を配置していますので、自然などが多く目に入る環境になっているのではないかと思います。

安心・安全、子育てを軸にした新しい時代の街開発

「安心・安全まちづくりの体制」
「安心・安全まちづくりの体制」

「安心・安全」については、我々としても開発の最初から非常に力を入れている分野です。もともと千葉県で「千葉県安全で安心なまちづくりの促進に関する条例」というものを定めていますが、流山おおたかの森はそのモデル地区の一つになっています。具体的には「サポーター会議」という官民連携の協議会と、その下に江戸川大学の教授、市民グループやNPO、行政、事業者などから成る「プレーヤー会議」という組織を作り、そこを中心にしながら住民自らの手で、新住民と昔から住んでいる方々と一緒に行う地域の防犯パトロールをはじめ、より安全な街を作るためのさまざまな取り組みを行っています。

ライフガーデン流山おおたかの森
ライフガーデン流山おおたかの森

また、駅前にある「ライフガーデン 流山おおたかの森」は子育て、健康、医療など市民生活のサポート機能を導入し、「安心・安全」な街づくりの拠点施設の役割を果たしています。こちらの施設はUR都市機構の関連会社である「新都市ライフ」が建設や運営を行っています。特に「保育ステーション」を設けたことが大きな特色で、実際に地域の方がお子さんを預けたりする姿も多く見ますので、頼りにして頂けていると思います。

開発主体としてまず人に住んで頂くために、最初に商業施設などの利便施設を作って“人の張り付き”を促進するということ自体は従来どこの開発でも行ってきたことです。しかし、このように子育て支援を前面に押し出した拠点施設を開発初期に作ることは我々の取り組みとしても初めてですし、ほかの地域でなかなかやっていない先進的な試みと言えるのではないでしょうか。やはり、最近は時代も変わってきており、こういった安心・安全こそ重要視されてきているのだと思います。

想いを語る佐光さんと四方さん
想いを語る佐光さんと四方さん

そのほかのバリアフリーなども街づくりにおいては常識になっていますので、この街も基本的には誰にでも住みやすいように考えられて開発されています。TXはそもそも高架事業ですから、踏切が無くバリアフリー的なものですし、車も含めて、東武アーバンパークラインの一部の踏切を除いては、ほとんどフリーで通れるようになっています。そのうえで、車と歩行者を分離できるような造りになっていることも、この街の特徴の一つかと思います。

流山おおたかの森エリアがこれからも活気ある街であり続けるように

いつまでも活気ある街を目指して
いつまでも活気ある街を目指して

「流山おおたかの森」の認知度はかなり高まってきていまして、TX沿線の中でも非常に注目されるエリアの一つになることができたと感じています。ただ、開発中の部分もまだまだ残っていますので、まずは基盤をしっかり整えて、新しい中心市街地のビルドアップに貢献したい、というのが我々の今の一番の思いです。

この街の魅力としては、計画的に作られた街並みと、市の受け皿などがしっかりとできていて若い世代が多いことだと思います。新しい街というのは、新しいうちは良いのですが、30年後、40年後になるとどうしてもオールドタウンになってしまいがちです。その点で、流山おおたかの森に関しては交通利便性が非常に良い街ですから、住宅だけではなく、短期滞在やビジネスなども含め、人の出入りや動きのある、いつまでも活気のある街になってほしい、と思っています。それだけのポテンシャルを持っている街だと思います。

佐光清伸さん(写真右) 四方治男さん(写真左)
佐光清伸さん(写真右) 四方治男さん(写真左)

今回お話を聞いた人

UR都市機構首都圏ニュータウン本部
千葉常磐業務部 販売業務チーム
チームリーダー 佐光清伸さん(写真右)
業務管理チーム 四方治男さん(写真左)
住所:東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー21階
電話番号:03-3347-0411
※この情報は2015(平成27)年11月時点のものです。