スペシャルインタビュー

“全ての子どもたちに質の高い幼児教育と保育を”「千葉市役所」の先進的な取り組み

千葉市南東に位置する千葉市緑区は、都心や千葉市中心部へのアクセスの良さと自然の豊かさが調和した住環境が魅力の街。昭和50年代には「鎌取」駅南側で「おゆみ野ニュータウン」が誕生するなど、子育て世代も多く居住するエリアとなっている。「千葉市役所こども未来局」を訪れ、市が取り組む子育て支援策や街の魅力について始関秀次さん、鈴木規宏さん、内山健さん、古川真一さん、木澤康男さんにお話を伺った。

千葉市役所 こども未来局 の皆さん
千葉市役所 こども未来局 の皆さん

子どもを育てたい・子どもが育ちたいと思うまちづくりを目指して

――千葉市が取り組む子育て支援策について教えてください。

始関さん:千葉市では、「こどもを産み育てたい、こどもがここで育ちたいと思うまち「ちば」の実現」を基本理念として、全ての子どもと子育て家庭への支援を推進するために、「千葉市こどもプラン」を策定し各種政策を展開しています。「子ども・子育て支援」を基本として「質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供」「保育の量的拡大・確保、教育・保育の質的改善」「地域の子ども・子育て支援の充実」に計画的に取り組んでいます。待機児童対策では、全ての子どもたちに保育と教育の場を提供できるよう、保育所の整備・保育士の確保、「放課後子どもルーム事業」に特に力を入れており、各種助成制度も整備しながら待機児童数減少に向けて積極的に取り組んでいます。

始関さん
始関さん

待機児童数が少ない緑区。ゼロに向けて対策を強化

――保育施設等の整備状況はいかがでしょうか?

鈴木さん:千葉市では平成26・27年度は待機児童数ゼロを達成しましたが、平成28・29年度は待機児童が発生しております。こうした状況を踏まえ、保育の受け皿の大幅拡充、保育士確保・負担軽減策を盛り込んだ「緊急アクションプラン」を策定し、実施しています。
具体的には幼稚園の認定こども園移行や認可外保育施設の認可化、小規模保育園の整備などを進め、保育の受け皿としての当初計画数1,188人分を500人増の1,688人に、同時に保育士の処遇改善・負担軽減策の実施、研修対策の充実など保育の質の向上に取り組み、平成30年4月の待機児童解消を目指しています。現状、入所待ち児童に関しては着実に減少しておりまして、とりわけ緑区は入所待ち児童数・待機児童数共に他区に比べて少ない傾向にあります。今後も、より子育てがしやすく住みやすい街になるように努めていきたいと思います。

子育て関連施設で情報を知る事も遊ぶ事も気軽にできる

――千葉市は子育て関連施設が充実しているとお聞きしました。

内山さん:はい。千葉市には小学校就学前のお子さんとその保護者が集まり、一緒に遊びながら楽しく交流できる施設がたくさんあります。「Qiball(きぼーる)」にある「子育て支援館」を基幹施設としまして市内には「地域子育て支援センター」や「子育てリラックス館」などが点在しています。各施設では子育てに役立つ情報をお知らせするほか、子育ての悩み相談も行っていますので、気軽にお立ち寄り頂ければと思います。

かまとり・子育てリラックス館
かまとり・子育てリラックス館

始関さん:「Qiball(きぼーる)」には、18歳未満の子どもたちが放課後や休日に過ごせる場所として設置された施設「千葉市子ども交流館」もあります。ここでは子どもの居場所づくりの拠点施設として、子どもたちが思い思いに過ごしたり、様々な講座などを行ったりしています。3階にはバスケットボールや卓球ができるアリーナ施設が、4階には工作や造形遊びが楽しめる工房やお菓子作りなどに利用できる調理室や学習室、5階には図書コーナーやパソコンコーナーがあり、大型の児童館に類する施設になっていまして、連日多くの子どもたちが利用しています。

「千葉市子ども交流館」がある「Qiball(きぼーる)」
「千葉市子ども交流館」がある「Qiball(きぼーる)」

また、市では子どもたちが「自分の責任で自由に遊ぶ」ことをモットーに、工具や自然の素材等を使って自分のしたいことを実現できる遊び場として「プレーパーク」を開催しています。「プレーパーク」では子どもの目線に立って子どもの遊び心を刺激し、「やってみたい!」を実現できるように遊びの手ほどきをしてくれる「プレリーダー」と共に、子どもたちは自然の中で自由に生き生きと遊ぶことができます。常設型プレーパークである「子どもたちの森公園」以外にも、「おゆみ野ふれあい公園」などの都市公園で市民団体が、月1、2回の頻度で「プレーパーク」を自主的に開催しています。子どもたちは、自然の中で自由に遊ぶことで仲間意識も生まれますしコミュニケーション能力も育ちます。何より子どもたちが生き生きとして遊ぶことができる場所が近くにあるのは、とても良い事だと思います。どの「プレーパーク」も入場無料ですので、気軽に遊びに来て頂けたらと思います。

地域の人の温かさに触れ合う事ができる場所

――「こどもカフェ」について教えてください。

始関さん:「こどもカフェ」は、地域の方々にご協力頂いて運営する、家庭でもなく学校でもない、子どもの居場所です。子どもたちにとって居心地が良く、落ち着くことができる「身近なカフェ」のような場所で、信頼できる大人が見守る中で異年齢の子どもたちが一緒に遊び、そして学びながら、子どもが育つことができる場所を目指しています。現在市内には「こどもカフェ」を高洲と園生の2カ所に設置していまして、小学校低学年の利用が多い傾向です。現状施設が2カ所のみとかぎられてしまいますが、地域の方、子ども同士の交流の場としてその役割は大変大きいと感じています。
このように地域の方と子どもたちの触れ合いが多いのも千葉市の特徴でして、中学校区に1カ所設置している公民館では、子どもたちを集めて料理教室をしたり、お正月には百人一首の大会をするなど地域の方と子どもたちが交流を深めています。今後も地域一丸となって子育てに取り組んでいきたいと考えます。

放課後の子どもたちに遊びと学びの場の提供を

――「子どもルーム」についてお伺いします。

木澤さん:「子どもルーム」は、一般的には「学童保育」とも呼ばれるもので、保護者が就労などにより昼間家庭にいない、小学生からを対象に、授業が終わった後の遊び及び生活の場を提供する施設になります。現在、小学校6年生までに「子どもルーム」の対象学年が拡大したことにより、小学校の特別教室に高学年ルームを開設するなど施設整備を進めていまして、平成29年度には「子どもルーム」5カ所を新設、平成30年度には4カ所新設予定です。子どもの居場所・安全の確保、待機児童数の減少にも効果が期待できます。
また希望する全ての子どもたちを対象に「安全・安心に過ごせる居場所」と「学びのきっかけ」を提供するため、これまで別々に運営していた「放課後子ども教室」と「子どもルーム」を一体的に運営して、子どもたちみんなが一緒に遊ぶことができる取り組みも始めています。

まちづくりを子どもたちの目線で。市民自治共同の取り組み

――千葉市が推進する「こどもの参画」とはどのような事業ですか?

始関さん:子どもの意見を市政やまちづくりに反映することによって千葉市が活性化すること、子どもが将来的に市政やまちづくりに積極的に参画する大人に成長するよう、次世代の育成を目指して始まった事業です。市内の中高生を対象にアンケートを実施したところ、まちづくりに意見を言える場がないという声を多く頂きまして、意見を言える場とそれを受け止める大人がいる場を作ることによって、子どもたちはもっとまちづくりに関心を持ち、市民参加協働につながるのでは、との考えのもと取り組んでいます。
実際に子どもたちの意見を取り入れている例もあり、「千葉市中央図書館」では、「目的の本が見つけにくいのでスーパーマーケットのように分類項目を見えやすく上から吊るすのはどうか?」という子どもたちの意見を受けて改善、サービスの向上に繋がりました。他にも「市内にはたくさん遊び場があるのに場所がわかりにくい」という子どもたちの声から、子どもたちが自由に遊び場情報を追加して作成できる「千葉市こどもの遊び場マップ」を子どもたちの目線で作り、各学校に配布して活用頂いています。分かりやすいと大変好評です。

子どもたちの意見をもとに作成された「千葉市こどもの遊び場マップ」
子どもたちの意見をもとに作成された「千葉市こどもの遊び場マップ」

鈴木さん:まちづくりに関心を持つ子が多く育って、「こどもがここで育ちたいと思うまち」になってもらえたら嬉しいと思います。

男性保育士を育て、誰もが子育てに参加しやすい環境を

――その他、特徴的な取り組みについて教えて下さい。

古川さん:千葉市が独自で行っているものとしましては、「千葉市立保育所男性保育士活躍推進プラン」があります。全国的にも大変珍しいプランで、発表時に各マスコミ等からも大きな反響がありました。平成27年度に「女性活躍推進法」が施行されたことで、各自治体や企業などでも女性が働きやすい環境の整備が進められていますが、保育士の中で男性は非常に少数で、働く環境も十分ではない状況でした。そこで働きやすい環境を整備し男性保育士が活躍することにより、父親の子育て参加も期待できるのではとの考えでプランが施行されました。このプランでは男性保育士登用目標を定めていまして、5年後までに保育所長を1人、10年後までに5人の保育所長登用を目指しています。
主な取り組みとしては、将来的に男性保育士が保育所を運営していくにあたって多様な知識・経験が必要になりますので、保育所勤務だけではなく、私ども「こども未来局」の幼保運営課や児童相談所等への配属も検討しています。また子どもの健康状態の把握や虐待の早期発見のために、オムツ交換等も女性保育士と同じように男性保育士が行う「性差に関わらない保育の実施」、保育所内に男性用トイレや休憩室を設置するなど、働く環境整備も進めています。さらに子育て関係イベントや保育所行事において、男性保育士の魅力発信や短大・専門学校の保育士養成施設への派遣、父親向けの育児講座や座談会なども企画して男性保育士の活動の場を広める取り組みを行っています。

古川さん
古川さん

家族・地域みんなで子育てが楽しめる街

――緑区鎌取エリアの子育て環境や魅力をご紹介ください。

始関さん:緑区鎌取エリアは、千葉市の中でも比較的新しい街です。保育所整備や「子どもルーム」の開設など子育て環境整備にも力を入れており、子育て世代にも優しく安心な街ですし、バスやJR、京成急行などの交通網も発達していて通勤・通学、ショッピングにも大変便利です。JR「鎌取」駅のすぐ近くには「緑区役所」がありコミュニティセンターもありますので、地域で活動する環境も十分に整えられています。緑区鎌取エリアは地域の取り組みが盛んな街でもありますので、新しく住まわれるご家庭でも暮らしやすい街だと思います。

木澤さん:公園が多く自然が豊かな環境もこのエリアの魅力で、近くには「大百池公園」、「有吉公園」、「泉谷公園」があり市民の憩いの場になっています。この3つの公園は遊歩道で繋がっていまして、子どもたちは車が行き交う道を通らないで学校に行くことができるのでとても安全です。休みの日にはこの遊歩道をお子さん連れでのんびりと散歩されている方も多いですよ。

「泉谷公園」から「有吉公園」を通って「大百池公園」まで続く「おゆみの道」
「泉谷公園」から「有吉公園」を通って「大百池公園」まで続く「おゆみの道」

内山さん:緑区鎌取エリアには、市の職員も多く住んでいますが、住環境がとても良く暮らしやすいです。

始関さん:市では子育て支援のために「パパスクール」や「プレパパママ講座」の開催も積極的に行っております。緑区鎌取エリアは、子育てを家族みんなで楽しむことができる街ですね。

千葉市役所 こども未来局の皆さん
千葉市役所 こども未来局の皆さん

千葉市役所
こども未来局 こども未来部 こども企画課

所在地:千葉市中央区千葉港1-1
URL:https://www.city.chiba.jp/kodomomirai/kodomomirai/kikaku/
※この情報は2017(平成29)年10月時点のものです。