保護者や地域社会とともに地域資源を活用した教育を推進する「木更津市立金田小学校」
東京湾アクアラインの入口、木更津金田インターチェンジ近くにある「木更津市立金田小学校」は明治時代に創立した歴史ある学校。近隣にある干潟を利用した独自の環境教育を行っており、さらに近年は地産地消に取り組む給食がコンテストで受賞したことでも知られる。
同校ならではの取り組みや地域の魅力について、今年度着任した石渡勇斗校長先生と、昨年度着任した髙橋一成教頭先生に話を聞いた。
貴重な地域資源である盤州干潟を生かし、環境教育に取り組む「木更津市立金田小学校」
――まずは「木更津市立金田小学校」の歴史と概要について教えてください。
石渡校長先生:1889(明治22)年に「金田小学校」として開校しました。それから今に至るまで児童数は右肩上がりで増え続けていて、現在の児童数は434名。4年から6年が2学級、1年から3年が3学級編成です。
既存の校舎だけでは対応できなくなったため、2021(令和3)年には南校舎を増築しています。さらに敷地内に残っている鉄筋コンクリート造の旧校舎を取り壊して新たな校舎を増築し、2027(令和9)年度から供用開始予定です。
髙橋教頭先生:鉄筋コンクリート造の校舎は、すでに取り壊された木造校舎と一緒に1928(昭和3)年に建てられたもので、20年ぐらい前までは管理棟として使っていました。階段部分が当時としては貴重で文化的価値があるため、そこを一部残して再利用するデザイン案が上がってきています。戦前に建てられた鉄筋コンクリート造の校舎は県内に2つしかなく、古い建築物が好きな人たちが見学に訪れることもあります。
――干潟など地域の特徴である自然環境を取り入れた、独自の教育について詳しくご紹介いただけますか。
石渡校長先生:本校から車で10分ぐらいの場所にある「盤州(ばんず)干潟」を活用した環境教育に取り組んでいます。環境省の「日本の重要湿地500」に選ばれた東京湾唯一の自然干潟で、多様な生き物が生息しています。遠足などで行くことはもっと以前からありましたが、総合的な学習として始めたのは20年ほど前からです。
年に2回、全校児童でバスを貸し切って「盤州干潟」に行き、2日間にわたってフィールドワークと調べ学習を行っています。低学年は見て触って親しみ、中学年はカニや貝、鳥など生き物について調べます。高学年はどんなゴミがあるか調べたり、干潟についての情報を発信したりなど環境問題を学びます。
他校とオンラインで交流したことや、市内の学習活動研究発表会で発表して市長から表彰されたこともあります。地域資源を教材に、SDGsの観点からの教育をうまくできていると思います。
髙橋教頭先生:実は本校には校歌が3つありまして、メインの校歌の他に、学校のシンボルマークになっている大イチョウをモチーフにした「銀杏の木」、そして干潟をテーマにした「干潟の歌」があります。そのくらい、干潟とは密接な関係性にあると言えますね。
――子どもたちに対する印象はいかがでしょうか。
石渡校長先生:金田は一昔前まで漁村だったので漁業関係者の子が多かったのですが、今は他の地域から移住されてきたご家庭が多いですね。でも、保護者の方々にも子どもたちにもそうした差異はあまり感じなくて、全体的に素直で明るく落ち着いている子が多いと思います。
地産地消や作物の旬、お箸の使い方など充実した食育を行う「木更津市立金田小学校」
――「おいしい給食コンテスト」で団体特別賞を受賞されましたね。子どもたちの作品を拝見したところ、定番から珍しい給食まで幅広く見られました。貴校では、給食に関してどのように力を入れておられますか?
石渡校長先生:2024(令和6)年9月には、映画『おいしい給食』で主演された市原隼人さんら豪華ゲストに来校いただき、子どもたちは大喜びでした。本校では栄養教諭を中心に地産地消に積極的に取り組んでいるので、食育は充実していると思います。
石渡校長先生:まずは主食であるお米。木更津市は年間を通して木更津産のお米を提供することを目標にしていて、現状は9・10月ぐらいから3月ぐらいまでの期間のみですが、子どもたちは地元で育てられたお米を食べています。お米以外もできるだけ木更津産のものを使うようにしていて、隣の巌根地区にある「JBK FARM」さんが作るブロッコリーやキャベツ、ネギといった野菜をよく取り入れています。
また、その日のメニューに使われている食材についての情報をはじめ、さまざまな作物の旬やお箸の使い方などもわかりやすく掲示しています。
石渡校長先生:本校は、自校調理の給食を自校のみで食べている木更津市で唯一の学校です。他校は給食センターで作っているか、調理場を備える学校が調理場のない学校の分も作る「親子給食」です。昔は本校も親子給食で、すぐ近くの「木更津市立金田中学校」の分も作っていました。児童が増えて対応できなくなったことで、自分たちの分だけを作るようになりました。
髙橋教頭先生:月に1回ぐらい、物語と食材を連動させた「ものがたり給食」という取り組みも行っています。おいしい料理が登場する絵本や児童書のストーリーと、その日に出る料理について放送委員がお昼の放送で紹介するのですが、子どもたちが料理や食材に興味を持つきっかけとなり、食事をより楽しめると思います。
抜群のアクセス性と豊富な商業施設で住みやすい金田エリア
――周辺の幼稚園や中学校、または地域の方々との連携について、ご紹介ください。
石渡校長先生:「木更津市立金田中学校」とは、今年から試験的に教員同士の授業見学を始めました。中学校の教員は小学校の丁寧に作り込んだ授業を見て、本校の教員は教科専門性の高い中学校の授業を見て、互いに学ぶところがあるでしょう。6年生が文化祭の合唱を見に行くといった交流も日常的にあります。本校に通うほとんどの児童が「木更津市立金田中学校」に進むので、進学時のギャップ解消にも役立っていると思います。
石渡校長先生:木更津市には「家庭、地域社会、学校・行政によるトライアングル子育て運動」を推進する事業のひとつとして学校支援ボランティアというものがあり、「できる人が できるときに できるだけ」を合言葉に、学校の教育活動を手伝っていただいています。登下校の見守りなども、地域や保護者の方々が協力してくださっています。また、毎年「木更津市金田地域交流センター」で開催される金田地区文化祭では、合唱部の歌を披露させていただいています。
海が近いこともあって地域の防災意識が高く、市の防災訓練とは別に金田地区まちづくり協議会が主催する独自の防災訓練を毎年行っています。内容は避難拠点となる「龍宮城スパホテル三日月」「木更津金田料金所」「木更津市金田地域交流センター」「木更津市立金田中学校」の4カ所に避難所を開設し、来た人に自宅からの所要時間などを聞いて非常食と水を配るというものです。本校は避難拠点にはなっていませんが、人員協力として教職員が出向き、地域の方々に協力しています。
――金田エリアの魅力やおすすめスポットを教えてください。
髙橋教頭先生:本校は東京湾アクアライン木更津金田I.Cのすぐそばにあるので、校外学習で県外に行くときは非常に便利です。特に東京や横浜方面は行きやすいです。他校だと修学旅行の集合時間は朝6時くらいになりますが、本校は7時ぐらいで済みます。また、この辺りは平たんで開けているので、ほぼどこからでも富士山が見えるのも魅力です。冬の朝は特にキレイですよ。
アクセスの良さに加え、「三井アウトレットパーク 木更津」「コストコ 木更津倉庫店」「カインズ 木更津金田店」「ベイシア 木更津金田店」など商業施設も豊富なので、暮らしやすいと思います。それから潮干狩り場がいっぱいあります。近場だと「金田みたて海岸 潮干狩場」や「牛込海岸潮干狩場」が有名ですね。県外から来る方もたくさんいらっしゃいます。
――これからこのエリアに住みたいと考えている方々に一言お願いいたします。
石渡校長先生:本当に交通アクセスが良いですし、住みやすいまちづくりがされていると思います。実際、東京や川崎など利便性の高い都市部から移住してくる方が多くいらっしゃいます。干潟や美しい富士山の景色を楽しめる自然環境も魅力ですので、ぜひお越しください。

木更津市立金田小学校
校長 石渡勇斗先生
教頭 髙橋一成先生
所在地:千葉県木更津市中島2931-1
電話番号:0438-41-0009
URL:https://www.fureai-cloud.jp/_view/kisa-kaneda-e/
※この情報は2024(令和6)年12月時点のものです。