特別インタビュー

木更津市「金田コミュニティカフェ」の交流会にたくさんの人たちが集まる理由

三井アウトレットパーク 木更津」などの商業施設が立ち並ぶ、木更津市金田地区。東京へのアクセスも良く、環境の良さ、住みやすさなどから、都心からの移住先として人気も高まっている。

急激に増える新しい住民と元々金田地区で暮らす人たちとの交流の場として、金田地区まちづくり協議会を中心に考えられた気軽に参加できる「金田コミュニティカフェ」。最初はわずか数人の参加者であったが、今では100人以上が参加する会へと成長した。子どもから子育て世代、そしてお年寄りと幅広い年代に支持される「金田コミュニティカフェ」に実際に足を運び、運営メンバーや参加者にお話を伺った。

「金田コミュニティカフェ」のボランティアスタッフの皆さま
「金田コミュニティカフェ」のボランティアスタッフの皆さま

転入者と元々の住民、多世代をつなぐ場となる「金田コミュニティカフェ」

金田地区の大型商業施設「三井アウトレットパーク 木更津」の前に位置する「木更津市金田地域交流センター(きさてらす)」。ここは市民の自主的な活動の場を提供し、市民相互の交流促進、および地域コミュニティの活性化を図るために設置された施設となっています。その1階ギャラリーにて、毎月第二水曜日に開催されるのが、今回取材させていただく「金田コミュニティカフェ」。美味しいコーヒーを飲みながら地域の交流ができる場として、100名以上が参加する人気のイベントです。

「木更津市金田地域交流センター(きさてらす)」
「木更津市金田地域交流センター(きさてらす)」

まずお話を伺ったのは、「木更津市立金田小学校」の校長や、「金田公民館」館長を務められた経験のある竹内淑子さん。現在「金田コミュニティカフェ」の中心メンバーである竹内さんに、「金田コミュニティカフェ」についてお伺いしました。

――まずは、「金田コミュニティカフェ」の概要を教えてください。

竹内さん:「金田コミュニティカフェ」は金田地区まちづくり協議会が主催している事業のひとつで、月に1回、カフェでコーヒーを提供する場となっています。コーヒーを淹れている面々は皆さんボランティアで、60~70代の方が多く、参加者とボランティアの皆さまのほとんどが金田地区にお住まいの方々です。

――「金田コミュニティカフェ」を始められたきっかけを教えてください。

竹内さん:金田地区は「木更津市金田地域交流センター(きさてらす)」ができる前は小さな公民館がひとつあるのみで、人口も5,000人前後の小さな漁村でした。「三井アウトレットパーク 木更津」ができた頃、新しく金田地区に人が移り住み始めた時期に、私は公民館の職員をしていたため、まちづくり協議会の会長と金田地区の課題について話し合っていました。課題のひとつとして、新規住民と元々の住民との交流機会の不足が挙げられたため、こうした場を企画しました。

1階ギャラリーは大盛況
1階ギャラリーは大盛況

――本日は大盛況ですが、当初から人気だったのですか。

竹内さん:最初は暗中模索でした。特に開始当初は、子どもたちの参加が少なかったです。一方で、公民館で子育て中のパパさん・ママさんを対象に行われていた子育てサロン「金田なかよし倶楽部」には、利用を限定せずに誰でも参加できるようにしたところ、100人以上の応募があったんです。

ここに参加される皆さまと、地域のお年寄りの交流の場があれば良いのではと考え、その「金田なかよし倶楽部」がある日にカフェを設定しました。そこから参加者が増えていきましたね。

人と人をつなぐ、公民館元館長の竹内淑子さん
人と人をつなぐ、公民館元館長の竹内淑子さん

――たくさんの人たちが、出店や演奏などいろいろな形で参加されていますね。皆さまはボランティアで参加されているのでしょうか。

竹内さん:カフェのスタッフ、演者はボランティアの方々です。販売では、障がい者施設で作るパンが大人気で、他にも近所のお寺の住職が作るジャムや、マフィン屋さんも出店しています。時にはお花の先生が来てくれて花を生けてくれたり、その輪はどんどん広がっています。

血圧などを測定する健康測定会のブースまで用意されている
血圧などを測定する健康測定会のブースまで用意されている

「金田コミュニティカフェ」を支える皆さんに、お話を伺ってみました

続いて、実際の「金田コミュニティカフェ」を回りながら、ここに関わる皆さんにお話を伺ってみました。

「金田コミュニティカフェ」では来場者に美味しいコーヒーとお菓子が無料で提供されています。まずはこのコーヒー提供コーナーのボランティアで、「金田コミュニティカフェ」発足の頃から参加されている武内明子さんにお話を聞いてみました。

コーヒーを提供するカウンター
コーヒーを提供するカウンター

――「金田コミュニティカフェ」に参加されたきっかけは何でしたか。

武内さん:地域の人たちや公民館でお会いする方々が、誘ってくださったことがきっかけです。私は金田地区生まれの専業主婦で、それまでは交流の場がなかったので、興味を持って足を運んでみました。

――当時と比べて、今の「金田コミュニティカフェ」に変化はありますか。

武内さん:公民館で開催されていた時は、参加者は数名で、私と同じ30代は全くいませんでした。「金田コミュニティカフェ」に知名度がなくて、行きづらい雰囲気もあったのだと思います。それが回を重ねる毎に、そして「木更津市金田地域交流センター(きさてらす)」に移ってきてからは、若いお母さんたちの参加が増えました。若いお母さんがお子さんを連れてきてくれて、年齢を問わず、ここでお話ししていく姿が見られるようになりました。

金田出身のボランティアスタッフの武内明子さん
金田出身のボランティアスタッフの武内明子さん

会場内には、物販のスペースもあり、皆さまに一言ずつお話を伺ってみました。まずは手作りジャムが販売されている、来迎寺住職の木村温枝さん。「来迎寺に見える方が果物を持って来られる方がたくさんいらっしゃって、それを有効活用しようと、6年前からジャムを作り始めました。」と話す。今では販売許可を取り、その売上金は、木更津市の小中学校の子どもたちに寄付されているそうです。

工房慈温 来迎寺住職 木村温枝さん
工房慈温 来迎寺住職 木村温枝さん

その隣のブースには、手作りマフィンが売られていました。こちらは千葉市若葉区からの参加で、コーヒーのお供にぴったりのお菓子を販売している「菓子屋 mofu」さん。 月に一度の参加を、毎回楽しみにしているとのことでした。

自宅の隣の工房で作られるマフィン
自宅の隣の工房で作られるマフィン

コーヒーのカウンター近くにいたのは、木更津市市民活動支援課の清原さんと木更津市消防本部の本多さんがいらっしゃいました。

「金田地区まちづくり協議会が運営しているので、毎月必ず市の職員も参加しています。ここではコーヒーをお配りしたり、市への要望を伺ったりしています。ここ最近特に人数が多く、パンを目的に来られる方もたくさんいらっしゃいます。値段が安く、とても美味しいです。」と、清原さん。

本多さんも、「私は消防なのですが、市の全ての課が地域推進職員に割り振られています。普段の仕事とは全く違いますが、地域の皆さまとコミュニケーションが取れることは貴重な機会で、有意義なことだと思います。」とお話いただきました。

若いふたりは会場にパワーを与えてくれる(左:清原さん、右:本多さん)
若いふたりは会場にパワーを与えてくれる(左:清原さん、右:本多さん)

「金田コミュニティカフェ」を盛り上げる華やかな演者の皆さま

コーヒーの提供や物販なども非常ににぎやかですが、取材に伺ったこの日は演奏会も予定されていました。まず登場したのは、サックス奏者の佐藤さん。元々「木更津市金田地域交流センター(きさてらす)」の講座に親子で参加していて、このカフェに気が付き、演奏したいとご自身から申し出たそう。

「ちょうど仕事が水曜日休みだったので、ぜひやりたいと。地元の人たちでこんなににぎわっているのはすごいことですし、声をかけてくれるので温かい場所だと思います。ステージ前には練習したり、年代層を考えて選曲したりと、自分自身の勉強にもなると思っています。」と明るく話されていました。

サックス教室の講師 佐藤風美香さん
サックス教室の講師 佐藤風美香さん

次に登場したのは、沖縄民謡を演奏するおふたり。この日は急遽飛び入りでの演奏となりました。沖縄三線の弾き語りNAGiSAさんは、お母さんと一緒に、安里屋ユンタ、涙そうそうなど、よく知られている沖縄民謡を演奏し、会場を盛り上げていました。

飛び入り参加の沖縄三線の弾き語りNAGiSAさんとお母さま
飛び入り参加の沖縄三線の弾き語りNAGiSAさんとお母さま

そしてこの日いちばんの盛り上がりを見せたのは、パンの販売でした。11時を回ると、皆さんお待ちかねのパンの入荷が始まりました。障がい者の就労支援を行う「社会福祉法人佑啓会 ふる里学舎 木更津」が作るパンは大人気で、すぐさま長い列に。パンは安くて美味しいと評判で、持ってきた500個のパンは1時間たたずに売れ切れとなっていました。

10時から開催された「金田コミュニティカフェ」の参加人数は100名を超え、大盛況のうちに閉会しました。

木更津市役所、木更津イオンなどでも販売する
木更津市役所、木更津イオンなどでも販売する

最後に「金田コミュニティカフェ」の中心的役割を担う、金田地区区長連合会会長の重城 薫さんにお話を伺いました。

金田地区区長連合会会長の重城 薫さん
金田地区区長連合会会長の重城 薫さん

重城さん:回を重ねる毎に徐々に人数が増えて、たくさんの人が来てくれています。このカフェは自由で、今日も飛び入り演奏がありました。もっと多くの人に利用していただけるよう、例えば講座を利用している人がもっと気軽に参加できるような仕組みを考えて、この「金田コミュニティカフェ」が地域の力で育っていければと思っています。

いかがだったでしょうか。金田地区へ住むことを検討されている方や、もしくは転入したばかりの方にとっては、地域の雰囲気を知れるとても良い場であるように感じました。ぜひ一度、「金田コミュニティカフェ」へご参加いただき、金田地区の雰囲気を体感してみてください。

「金田コミュニティカフェ」のボランティアスタッフの皆さん
「金田コミュニティカフェ」のボランティアスタッフの皆さん

金田コミュニティカフェ

所在地:千葉県木更津市金田東6-11-1 金田地域交流センター「きさてらす」
電話番号:0438-97-6292(金田地域交流センター「きさてらす」)
URL:https://www.city.kisarazu.lg.jp/soshiki/shimin/kaneda/3/12111.html
※この情報は2025(令和7)年2月時点のものです。