ーまず、学校の基本コンセプトとなっている「子どもたち・地域・地球にやさしい小学校」についてお聞きします。これには「子どもたち」「地域」「地球」のキーワードが出てきますが、それぞれにどのように「優しく」か、詳しくご説明いただけますか？

佐藤先生：「子どもたち」に優しいという点については、校舎への天然木の活用や有害物質の使用の低減、屋上や壁面の緑化、自然採光と自然換気、グラウンドの芝生化、バリアフリーなど、校舎建築の段階で多方面について考慮されております。「地域」に優しいという点については、子ども達を育て守る環境として、地域の皆さんの協力をいただくことが重要と考えております。

地域の子どもは地域の大人に育てていただくことが大切ですので、地域の方とさまざまな”世代間の交流”を図る場としての学校、また、地域のシンボルとして愛される学校を目指しています。

「地球」に優しいという点については、太陽光発電による二酸化炭素削減を目指した「エコスクール」の実現です。これは柏市地球温暖化対策条例の具現化の一例とも言えます。

まだ開校間もないので、年間を通じてのデータは揃っていませんが、学校内の消費電力の4分の1を太陽光エネルギーで賄うことを目指しています。
校舎設計の段階からしっかりとしたコンセプトを持って造られた小学校ですので、いまはそのコンセプトの実現に向けて、日々実践しているところです。
成果をご報告できるのはもう少し先のことになると思います。

ー学校全体の教育目標は、「生きる力を育み、夢の実現に向けた未来を拓く子を育成する」とされていますね。未来を担う子ども達をどのように育てるか、と考えるうえで、今の子に一番足りないことは何だとお考えでしょうか？また、これを補うために何を実践されているのでしょうか。

佐藤先生：これは大人社会の影響かと思いますが、日本では人口が減少に転じ、右肩上がりの時代も終わりを告げつつあります。
日本の未来は不透明になり、現代は子ども達にとっても”夢を持ちにくい社会”になっているのだと思います。

そこで、柏の葉小学校では敢えて「夢の実現」について特に強調しておりまして、まだ実践段階ではありませんが、今後は「大人になったらこんな仕事をしたい」と思ってもらえるような、職業やキャリア育成につながる教育に取り組みたいと考えています。

ー学校目標の達成のために、大切なのは「学力」「心」「体」とされています。まず「学力」については、学習指導要領が変わり、学習内容が増えていますが、特に気をつけている点などはありますか？

佐藤先生：「教える」ことと「考えさせる」ことをきちんと区別し、教えることは効率よく教え、考える時間をしっかり確保することが必要だと思います。子ども一人ひとりが「なぜだろう？」と疑問をもち、それを解決するために「考える」ことが大切なんですね。

ですから、私達はただ「教える」だけではなく、子どもが問題を考えて解決するうえで、良いアドバイスができる教師集団でありたいと思っています。

ー「心」の問題も、学力低下と同じくらいに大きな課題だと思います。今の子ども達は昔とかなり違ってきていると思いますが、今の子どもたちにおいて、気をつけて育て上げなければいけない「心」の教育について、お考えはありますか？

佐藤先生：心を健全に育てるには、いろいろなことに感動できる豊かな「感情」をもつことだと思います。また、自分自身を大切にするとともに、他の子も大切にする「思いやり」を持つことも大切だと考えており、教育に取り入れていきたいと思っています。

ー最後に「体」ですが、この学校の周辺の恵まれた環境であれば、きっと健康な子ども達が育っていくだろうと想像できますが、特に健康面・体力面などで配慮されている点がありましたらお願いします。

佐藤先生：昨今は「早寝、早起き、朝ごはん」の大切さが確認されていますが、基本的な生活習慣を身につけることと、運動の日常化が大切だと思います。子ども達の間でもよく運動する子とほとんど運動しない子の二極化が進んでいると言われております。

本校では教育活動を通して毎日運動する習慣を身につけさせると同時に、運動することの楽しさを体験させたいと考えています。