アーカイブ―柏の葉小学校SPECIAL INTERVIEW!

第9回:環境と立地を活かした教育(2016/07取材)

柏の葉小学校SPECIAL INTERVIEW!
柏市立柏の葉小学校
校長 比嘉康雄先生

「柏の葉キャンパス」駅周辺を学区域に持ち、2012(平成24)年の開校以来、毎年100人単位で児童数が増え続けている「柏市立柏の葉小学校」。本サイトでは変化の大きなこの小学校について、毎年追加で色々とインタビューを行ってきましたが、今回、2016(平成28)年の夏休み期間中にも、最新の情報についてお聞きすることができました。
今年度からは8教室を備える新学習棟も誕生し、より充実した環境が整ってきた「柏市立柏の葉小学校」。その現在の姿、そして未来の姿とは、どのようなものなのでしょう。比嘉康雄校長にお聞きします。

柏の葉小学校
柏の葉小学校

ー今年も児童数が大幅に増え、クラス数も増えたと聞いています。今年度の児童数は、どのくらいになったのでしょうか?

比嘉先生:今年度は141名の新1年生が入りましたので、現在の全校児童数は、627名という状況です。これは昨年と比べて、ちょうど100名くらい増となります。これにともない学級数も増え、通常学級が21、特別支援学級が2、昨年よりも3学級増加の全部で23学級となりました。学級数が増えますとクラス替えも必要ですので、今年度は1年生のほか、3、4、5年生についても、クラス替えを行いました。

今後についても、このペースで児童数は増えていくだろうと、市では見通していまして、最大で2020(平成32)年ごろ、1,100名程度になるのではないか、という予想がされています。

新しく増築された学習棟の外観
新しく増築された学習棟の外観

ー新しい学習棟が今年の4月から供用開始となったそうですね。こちらについて詳しくお聞かせください。

比嘉先生:既存の棟に連続する形で、2階建て、8教室を備えた新たな学習棟が造られ、今年度から使い始めました。基本的には既存の学習棟と同じ構造となっています。 とはいえ、細かいところで改善された部分はあります。たとえば廊下に(歩く場所の)ライン表示を引いたり、洗面台の蛇口を可動式のものにしたり、階段を掃除しやすいように、凹凸の少ない造りにしたり、トイレの鏡の枚数を増やしたりと、先生方からも意見を募って、細かな部分を改善しています。

柏の葉小学校
柏の葉小学校

もちろん良い部分はそのまま引き継いで、採光にこだわった造りは今までの校舎と同様のものですし、全体的には既存校舎と一体感がある、光があふれる、風通しのいい校舎となっています。

柏の葉小学校
柏の葉小学校

ー新しい学習棟は、現在何年生が使っているのでしょうか?

比嘉先生:現在は、2階に5年生と6年生、1階には2年生が入っていまして、このほか、空いている教室が2つあります。ただ、来年にはこちらも埋まっていくかと思いますし、今後の配置予定は、まだ決まっていません。

柏の葉小学校
柏の葉小学校

ー今後のさらなる増築も予定されていますか?

比嘉先生:今後の増築予定はありませんが、2018(平成30年)に、隣の敷地に中学校が開校します。小学校と中学校を連絡通路(渡り廊下)でつなげる予定となっています。そうなると、児童と生徒同士の交流や職員同士の交換授業など小学校と中学校が連携して様々な教育活動が展開できるのはないかと思います。教育活動の幅が広がっていくのではないかと期待しています。

柏の葉小学校
柏の葉小学校

ー新棟の完成で、学習環境がさらに良くなったという感触はありますか?

比嘉先生:もちろん、そうですね。従来は特別教室にいた子たち(クラス)も、今は普通教室になりましたので、自然の光を感じながら学習できたり、ワークスペースを使ってグループ活動をしたりといった具合に、「本来の環境の中で勉強ができるようになった」という感じです。昨年に比べたら、ずいぶん快適になったと思います。

また、特別教室が空いたため、英語教室や視聴覚室などが、本来の目的で活用できるようになり、全校児童にとっても、本来の素晴らしい学習環境が戻ってきたかと思います。

柏の葉小学校
柏の葉小学校

ー新しい校舎について、子どもたち、保護者の方々の反応はいかがでしょう?

比嘉先生:大きな変化はありませんが、やはり開放的、都会的な造りになっているということで、保護者の方からは変わらず好評の声を頂いています。子どもたちも、のびのびと、嬉しそうな表情で過ごしていますので、それは良かったなと思います。

柏の葉小学校201607
柏の葉小学校201607

ー新しく、下校時の通学路の見守りも始まったそうですね。

比嘉先生:そうですね。通学路の見守りは、実はこの学校ができて2年目から始まっていて、3年目にはシフトを組んで毎日見守るようになりました。今年からは、下校時の見守りもしましょう、ということで、新たに下校時の見守りが始まりました。

これは、本校では特に低学年の子の割合が増えていて、今年は1、2年生だけで280名もいます。ですから学校全体の半分近い数の子が一気に帰っていくという状況が生まれてきたんです。そうなると、従来以上に、安全確保をしっかりやっていきたいという保護者の思いもあり、この見守りについてはPTAの活動の一環ということで、非常に精力的に行っていただいています。

まずは学校内で講義を受ける
まずは学校内で講義を受ける

ー昨年度は「未来こどもがっこう」の出張講座が行われたということですが、これは何でしょうか?

比嘉先生:「未来こどもがっこう」というのは、もともとこの柏の葉エリアが、自然もあって、大学もあって、病院もあって、商業施設もあってという、「学び」に満ちているエリアであるということから、大学や市、民間企業などが一体となって組織した「街のみんなで協力して作る学びの場」なんです。昨年からスタートしました。

この「がっこう」は普段、主に駅周辺で講座を開いていて、大学の先生や地域の方が入ったりしながら、地域の子どもたちに街や自然の魅力を伝えるような講座を開いているのですが、本校については特に、駅周辺が学区に含まれる学校であるということと、子どもたちの自然や科学に対する興味・関心が特に高い学校ということで、昨年度は特別に、出前授業に来ていただいたという次第です。

昨年の出張講座は5年生が受けたのですが、丸1日使って、「自分の街のエネルギーについて知る」というテーマで行われました。まずは学校内で、街のエネルギーがどうやって作られて、使われているかという内容の講義を受けて、その後は実際に街に出て、街のエネルギー配分をコントロールするための部屋を特別に見せていただいたり、「ららぽーと」にある、氷を使った空調設備について見学させていただいたり、ということを行いました。

そういう施設を実際に見せていただいた後に、また学校に戻ってきて、フィードバックをして、最後には自分でエネルギーを作る体験をしてみる、といった盛りだくさんの内容で、これには子どもたちも目を輝かせていて、非常にいい経験になったと思っています。

昨年度は最初の試みということで本校のみでしたが、今年は市内のほかの学校にもまわっています。今後も出前授業をしていただければ嬉しいですね。

エネルギーを作る体験
エネルギーを作る体験

ー「KSEL」(柏の葉サイエンスエデュケーションラボ)との関わりも、新たに生まれてきているそうですね。

比嘉先生:「KSEL」というのは、近くにある東大の理科系の大学院生を中心に、科学を通して地域や地域の子どもたちと関わる活動をしている学生団体でして、色んな活動をしているようです。大きなものでは、「理科の修学旅行」というものを、毎年夏と冬の長期休み中に行っていまして、そちらに本校の子どもたちも沢山参加しています。

今年の夏も鴨川に行って地層の勉強をしたり、生物観察などをしたそうです。本校からは職員も1名同行したので、聞いてみたところ、45人ほどの参加者のうち、20人ぐらいが本校の子だったそうです。この旅行は去年ぐらいから行われているもので、まだまだ学校として、しっかりと連携はできていませんが、子どもたちも非常に楽しそうに参加していましたから、今後はこちらとの連携も築いていければ良いな、と考えています。

柏の葉小学校
柏の葉小学校

ーこのほか、地域の方々との関わりなどがありましたら教えてください。

比嘉先生:今回、増築にともなって新学習棟の横に「環境ガーデン」というのを整備したんですが、そちらには「こんぶくろ池自然の森」というNPOの方々にも協力していただいています。

もともとこの学校は、科学教育をひとつメインにしていきましょう、という部分がありますので、その材料として、このガーデンに風車を作り、水を循環させて、生物が住めるような環境を作っていこうと整備を進めています。中にどんな生き物を入れるのか、周りの樹木をどうするか、というところについて、「こんぶくろ池自然の森」さんにアドバイスを頂いています。

柏の葉小学校
柏の葉小学校

また、地域の皆さんとの関わり、ということですと、地域のイベントやお祭りへの参加でがあります。これは吹奏楽部がよく呼ばれていまして、一番街のお祭りや、松葉地区のふれあいコンサートなどで演奏しています。田中地区の運動会に、本校の子どもたちが呼ばれて、リレーで参加する、といった関わりもありますね。そういった地元との関係というのは、徐々に増えてきています。

柏の葉小学校
柏の葉小学校

ー開校当初から続くもので「あいさつ運動」や「朝読書」等の取り組みがあるかと思いますが、こちらの定着度合いについてはいかがでしょう?

比嘉先生:「あいさつ運動」については、ますます定着してきていると感じています。今年も「あいさつ週間」を1学期にやったのですが、今年は児童会のメンバーだけではなくて、各クラスの生活委員と学級委員、1、2年生については学級委員がいないので、クラスの代表の子どもたちも一緒にということで、全校的にリーダーを広げまして、いろんな子に校門に立ってもらうようにしました。これは今年初の試みだったんですが、終わった後にも、低学年の子どもたちは「門に立ちたい」と言っていたり、とても良い結果がでたと思います。

あいさつ運動に関連した部分では、昨年はあいさつ運動の一環で交通安全標語の募集をしまして、PTAの皆様の全面的な協力のもとに、その中から優秀作品を通学路のフェンスに飾ったり、さらに最優秀作品7点については、電柱に看板として取り付けて、今後5年間ずっと飾り続ける、ということも行いました。

第9回:環境と立地を活かした教育(2016/07取材)
第9回:環境と立地を活かした教育(2016/07取材)

もうひとつ、「朝読書」についても、昨年度から月曜日はPTAの皆様の読み聞かせ、火曜日から金曜日は10分間の朝読書ということで、従来以上に本に触れる時間を多く設けるようにしましたので、非常によく定着してきていると感じています。

読書量の一つの指標は貸出冊数かと思いますが、この数字から見てみますと、本校は昨年度、平均で82冊(年/1人あたり)となっています。柏市の目標値が50冊ですから、市の目標はもう十分にクリアしていますし、読める子はもっと読んでいますから、今年はさらに、その冊数が増えていくと思います。雨の日などは特に、休み時間にも図書室で読書をする子が増えていますし、昼休みの貸出のカウンターには、長い行列ができるくらいです。

柏の葉小学校201607
柏の葉小学校201607

ー最後に、学校の将来的なビジョンについてお聞かせください。

比嘉先生:本校はもともと、科学教育を特に重視している学校ですから、今後は「未来こどもがっこう」や「KSEL」など、地元の皆さんや団体さんとも連携を深めていって、教育活動に反映できればと思っています。

また、学校の隣が緑地公園の予定地になっていて、今はまだ整備中の段階なんですが、自然環境的にも非常に恵まれている場所だと思いますので、その豊かな自然や、新たに整備している環境ガーデンなども活用しながら、体験的な学習機会を増やし、自然や科学への興味関心を高め、理解を深めていくようにしたいと思っています。

もう一つは、地域の方との連携、交流という面ですね。子どもたちがもっと地域に出ていく場や、活躍できる機会を増やすということはもちろんですが、地区の子どもたちの集まり、つまり子ども会的なものを、学校のほうから働きかけて作っていくことなどもできれば良いな、とも考えています。地域と学校がもっと連携すれば、もっともっと、いろいろなことができるようになるでしょうね。

柏の葉小学校
柏の葉小学校

今後、本校はさらに児童数が増え、大きな学校になっていくでしょうから、そういった中で子どもたち同士のつながりというのも、ますます重要になってくると思っています。素晴らしい環境はすでに整っていますので、そういう「つながり」作りというのが、今後の課題ですね。

柏の葉小学校201607
柏の葉小学校201607

今回、話を聞いた人

柏市立柏の葉小学校

校長 比嘉康雄先生

所在地:千葉県柏市十余二348-51
中央404街区1
電話番号:04-7134-3987

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