アーカイブ―柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(KSEL)に注目!

第2回:街なかで誰もが“科学”に触れられる「街まるごと科学館“Exedra”(エクセドラ)」(2015/07取材)

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KSELの活動に注目!

柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(KSEL)
会長 羽村太雅さん、事務局長 天沢逸里さん

2015(平成27)年6月から始まった新たな取り組み「街まるごと科学館“Exedra”(エクセドラ)」。柏の葉の街全体を科学館に見立てて展示を行い、老若男女を問わず誰もが日常的に科学に触れられる「柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(KSEL)」の試みです。前回に引き続き、KSEL(ケーセル)会長として活躍する羽村太雅さんと、東京大学の大学院生であり事務局長を務める天沢逸里さんに、「街まるごと科学館“Exedra”(エクセドラ)」オープンのきっかけや取り組みの概要についてお話を伺いました。

ー「街まるごと科学館“Exedra”(エクセドラ)」はどのような目的、想いで企画されたものですか?

Exedraのロゴ
Exedraのロゴ

KSEL発足の経緯や街の交流活動として行ってきた「サイエンスカフェ」などについては連載第1回でもお話させていただきましたが、これまでの企画は単発のイベントが中心でした。しかし、活動を続ける中で「疑問」や「考察」などをもっと時間をかけて考えてほしい・一緒に考えたいという想いが徐々に強くなりました。それならもう少し長期的に同じテーマを扱い、いつでも行ける“科学館”を設けようと考え、その方法を検討しはじめました。

「まちの健康研究所 あ・し・た」内にある街なか展示のひとつ
「まちの健康研究所 あ・し・た」内にある街なか展示のひとつ

また、科学に興味のある方はもちろん、これまで興味がなかった方にも関心をもっていただけるよう、たとえばショッピングセンターのトイレの前など、人が多く集まり何気なく目にする場所に、科学の展示をしたら面白いし、多くの方にご覧いただけるのではないかと思ったんです。

中央展示室の一角で紹介されている書籍の一部
中央展示室の一角で紹介されている書籍の一部

これまでも近隣のレストランやカフェに協力いただき、科学にまつわる本を並べた本棚を設置させていただき、日常のふとした瞬間に科学に触れられる機会を提供してきました。残念ながらそれらのお店は移転・閉店をして本棚もなくなってしまったため、そうした場をあらたに設けたいという想いもありました。

ー第1弾として開催された「小惑星~太陽系のタイムカプセル~展」の見どころについて教えてください。

「小惑星~太陽系のタイムカプセル~展」では、つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス」駅の東口に「中央展示室」を構えて、そこを中心に50億分の1スケールの太陽系を想定して展示を街なかに配置しました。中央展示室が太陽の位置になるわけです。

「柏の葉スマートシティミュージアム」での展示の様子
「柏の葉スマートシティミュージアム」での展示の様子

たとえば駅の西口にある「柏の葉アーバンデザインセンター」(UDCK)は、「中央展示室」から46メートルの距離にあり、太陽系では火星軌道にあたります。
また「中央展示室」から156メートルの木星軌道の内側には「柏の葉スマートシティミュージアム」と「まちの健康研究所『あ・し・た』」があり、それぞれ太陽系の小惑星帯に見立てて展示を行っています。こうした街なかにある展示は、科学に興味のない方にも気軽に科学に触れていただけるよう、無料でご覧いただけるようにしました。

UDCKにある街なか展示
UDCKにある街なか展示

一方、「中央展示室」では、街なかの展示で学んでさらに知りたくなった方に向けて、発展的な内容を展示しています。KSELのスタッフが常駐し、展示内容に関することだけではなく、科学にまつわることであれば知り得る限り何でもお答えしています。中央展示室だけは大人500円、中高生300円、小学生200円の入館料をいただき、展示を揃える一助としています。

中央展示室で宇宙旅行を体験!!
中央展示室で宇宙旅行を体験!!

また入館料をいただくことで、「せっかくお金を払ったんだから何かひとつでも聞いていこう」というモチベーションにもつながっているようで、科学への興味・関心がよりいっそう育まれているのではないかと感じています。

ー今後の予定、また「街まるごと科学館“Exedra”」の将来的なビジョンについて教えてください。

中央展示室の中から
中央展示室の中から

KSELは学生を中心に発足した団体で、「サイエンスカフェ」や「出張授業」などもほとんど無償のボランティアとして企画・運営をしています。「街まるごと科学館“Exedra”」も「こんなことをしてみたい」「あんな仕掛けはどうだろう」とアイデアはいくらでもあるのですが、限られた予算のなかで過度な負担にならないよう行っているのが現状です。

来場者からの質問やメッセージコーナー
来場者からの質問やメッセージコーナー

「中央展示室」を有料にしたのも、KSELの活動がボランティアと言えど継続しなければ意味が無いと考えているからです。

今後は「街まるごと科学館」の常設化や、ほかの街への拡大も視野に、毎週末開館できるような仕組みと体制を整えていきたいと思っています。また展示の場所も徐々に増やして、科学に触れられる機会をより多く提供していきたいと思います。

羽村さんと天沢さん
羽村さんと天沢さん

今回、話を聞いた人

柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(KSEL)

会長  羽村太雅さん(左)
事務局長 天沢逸里さん(右)
http://udcx.k.u-tokyo.ac.jp/KSEL/

■「街まるごと科学館“Exedra”」は8月からは展示のテーマを変えて土にまつわる企画展を開催しています。ぜひホームページやフェイスブックをご確認の上、足を運んでみてください。

※2015(平成27)年7月実施の取材にもとづいた内容です。記載している情報については、今後変わる場合がございます。

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