スペシャルインタビュー

みんなで健康を考える、次世代を見据えたまちの健康づくり拠点「まちの健康研究所「あ・し・た」 」

子どもから高齢の方まで楽しみながら健康について考える機会を持てる「あ・し・た(あるく・しゃべる・たべる)」。東京大学と共同研究を行う民間企業10社の協力により運営されている「公・民・学」に市民が加わった「公・民・民・学」の新しい取り組みに多くの関心が寄せられている。今回はまちの健康研究所「あ・し・た」の所長であり、運営組織「一般社団法人ヘルスケアイノベーションプロジェクト」の理事でもある椎名一博さんに、「あ・し・た」の特徴についてお話を伺った。

―まず、「あ・し・た」がどういった施設なのか、設立の経緯と役割について教えてください。

ナチュラルテイストの落ち着いた雰囲気
ナチュラルテイストの落ち着いた雰囲気

総人口に対する65歳以上の割合が21%を超えた社会を「超高齢社会」と言いますが、医療費の増大や年金の財源をどうするかなど、社会保障の問題が大きく立ちはだかっています。もう目の前まで迫ってきている「超高齢社会」でどうすればみんなで幸せに過ごせるのか、そういった想いから発足させたのがまちの健康研究所「あ・し・た」です。

明るい施設内には様々な展示
明るい施設内には様々な展示

民間企業10社の協力により運営されているのですが、気軽に多くの方にお越しいただけるよう“無料”で利用できるのが特徴です。「あ・し・た」には“健康”を考えるうえで大切な「あるく・しゃべる・たべる」にまつわる『食・栄養』『口腔』『歩行』『美容』『介護予防』の5つのブースがあり、企業・研究機関の最新の情報が展示されています。

会員登録をすると継続な健康チェックもできる
会員登録をすると継続な健康チェックもできる

またこれは必須ではないのですが、会員登録(無料)をしていただくことで、体脂肪率から全身部位別の筋肉量、骨量や基礎代謝量も測定することのできる最新の体組成計をご利用いただくことができるため、継続的な健康チェックの場としてもご利用いただけます。

「あ・し・た」が入っているららぽーと柏の葉」
「あ・し・た」が入っているららぽーと柏の葉」

2014(平成26)年7月のプレオープンからもうすぐで1年を迎えますが、会員登録者数は1,200名にのぼり、それぞれの“健康”を見つめ直す“まちの健康研究所”として利用されています。

―はじめて利用する際はどのような手続きが必要ですか? 会員登録をするとどのようなことができるのでしょうか?

展示は自由に見ることができる
展示は自由に見ることができる

展示ブースをご覧いただいたり、イベントに参加するのには会員登録は必要ありません。また専門家から「食べ過ぎに注意しましょう」とか「禁煙しましょう」といった健康指導を受けるための場所でもないため、講習会やセミナーのような堅苦しい雰囲気もありません。

会員登録をいただいている1,200名のうち、およそ3分の2は60歳以上、残り3分の1が30代から50代といった割合ですが、そもそも“健康”というのは人によって異なり、“病気”とも違い毎日を楽しく過ごすための“手段”であり、「運動しなきゃ」とか「タバコをやめなきゃ」と頭で分かってはいても実行、継続できないのが“健康”です。

会員登録により発行される“会員カード”を活用すれば、体組成計によって測定した体重、体脂肪率、全身部位別の筋肉量、骨量、基礎代謝量などのデータやその他の計測データを蓄積できるため、継続的な健康づくりの動機づけにもなると思います。

またこれは実際に運営してみてあらためてその重要性に気がついたのですが、「あ・し・た」の「し(しゃべる)」、つまり仲間と一緒に楽しみながら実行、継続させられるのが“健康”でいるための大切な部分で、“仲間と一緒だと楽しい”というメンタルの部分を引き出してみんなで“健康”づくりに取り組むのも「あ・し・た」の特色だと思います。

―「あ・し・た」が主催するイベントにはどのようなものがありますか?「ポールウォーキング」についても詳しく教えてください。

おりがみさろんの様子
おりがみさろんの様子

イベントはこれまで輪ゴムを使った「貯筋ゴム体操」や、栄養士の先生を招いての「60代からの健康ごはん教室あ・し・たクッキング」、おひなさまやキャラクターなど個性的な折り紙にチャレンジする「おりがみさろん」など、さまざまな取り組みを行ってきました。

ポールウォーキングイベントの様子
ポールウォーキングイベントの様子

2015(平成27)年5月1日に初開催した「ポールウォーキング」も好評で、日本の整形外科医が考案したあたらしいウォーキングのスタイルとして注目を集めています。2本のポールを持っていると、トレーニングのためのノルディックウォーキングと勘違いされる方も多いのですが、ポールは転倒防止のための支持として軽く地面にふれるだけで、下半身に加え上半身も運動効果が得られる効率の良い運動方法です。

ポールウォーキングに使用するポール
ポールウォーキングに使用するポール

もともと認知症の予防や運動不足によるメタボ、関節や骨の障害により活動が制限されるロコモ(運動器症候群)予防のために開発されたもので、歩くことに自信のない方でも安心して歩きはじめられるのが魅力です。

今後の開催スケジュールはホームページの「イベント情報」でも紹介しているほか、講師を務める武田さんは「あ・し・た」のスタッフとしても活躍いただいているため、実際に話を伺ってみるのも楽しいかと思います。

―「あ・し・た」のスタッフのみなさんは、地域のボランティアと伺いましたが? 体組成計の操作や展示ブースの紹介など専門的な知識をお持ちの方ばかりですか?

「あ・し・た」の運営において重要となる「公・民・民・学」の「民」の部分ですが、もともと地域でさまざまな活動をしていた方々に声をかけて、現在29名のボランティアスタッフの協力により運営がなされています。

あ・し・たスタッフと利用者
あ・し・たスタッフと利用者

「産」の民間企業の“地域のために少しでも役に立ちたい”という思いと、同じく“地域のために何かをしたい”けれどそのチカラを生かしきれていない市民の想いをマッチングさせることで、民間企業と市民とが連携した新しいまちの仕組みづくりができるのではないかと考えています。

専門的な知識を要する体組成計の扱いや展示ブースの紹介方法などについては、プレオープンの3ヵ月ほど前から勉強会を重ねスタートしました。なかには“接遇”についての講習もあり、腰を15度に曲げて「いらっしゃいませ」と発声するのも実際に体験していただきました。

「あ・し・た」のスタッフのみなさんは、それぞれまったく違う職業や経歴の持ち主のため、お医者さんのような専門的な知識こそありませんが、人生経験という点から見れば相手の気持ちを汲むことのできる達人です。自分ひとりでは実行、継続できない“健康”づくりも、「あ・し・た」に足を運んでいただくだけで、楽しく一緒に行うことができるのではと思います。

―間もなくプレオープンから1年を迎えますが、何か特別な企画やイベントの予定はありますか?

柏の葉キャンパスから歩いてすぐ
柏の葉キャンパスから歩いてすぐ

1周年を記念した特別なイベントというのは特に企画していないのですが、日頃から尽力してくださっているスタッフのみなさんと“ご苦労さん会”を開きたいと考えています。
この地域の方々はまちを想う気持ちが非常に強く、“地域のために役に立ちたい”“身近な誰かの役に立ちたい”という純粋な気持ちと、「あ・し・た」のスタッフとして地域に貢献できているその実感と誇りを大切にしながら、一緒に楽しい雰囲気づくりをしていってくださればと思います。

―最後に地域の方へメッセージをお願いします。

8月から「子どもが野菜大好きになるプロジェクト」という健康イベントを5回にわたって開催する予定ですが、子どもに野菜を食べてもらって若いうちから“健康”を指導しようというものではありません。

野菜を喜んで食べる様子
野菜を喜んで食べる様子

子どもの野菜嫌いに対してお母さんが「食べなさいっ!」と毎日のように繰り返されていたものが、子どもの喜んで野菜を食べる姿を見て、家族の食卓が明るくなったということも毎日を楽しく過ごすための“健康”と捉えています。

“健康”というのはあくまで人生を楽しむための“手段”であり、“健康”づくりを通じて家庭が明るくなった、人生観が変わったという実感をぜひ「あ・し・た」で感じていただければと思います。

今回、話を聞いた人

まちの健康研究所「あ・し・た」 所長
一般社団法人ヘルスケアイノベーションプロジェクト 理事

椎名一博さん

所在地:千葉県柏市若柴178-4
    ららぽーと柏の葉 北館3F
電話番号:04-7197-7713
https://www.ast-lab.jp

※2015(平成27)年6月実施の取材にもとづいた内容です。記載している情報については、今後変わる場合がございます。

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