スペシャルインタビュー

さまざまな取り組みで地域に貢献、船橋市のプロバスケットチーム「千葉ジェッツふなばし」

船橋市をホームタウンとするプロバスケットボールチーム「千葉ジェッツふなばし」は、「B.LEAGUE」屈指の実力と人気を兼ね備えたチームだ。練習拠点となっている「ロックアイスベース」で、「株式会社千葉ジェッツふなばし」の広報を担う芳賀宏輔さんに、多岐にわたるチームの活動や地域への思いなどを伺った。

株式会社千葉ジェッツふなばし 広報 / STAR JETS・ジャンボくん マネージャー 芳賀 宏輔さん
株式会社千葉ジェッツふなばし 広報 / STAR JETS・ジャンボくん マネージャー 芳賀 宏輔さん

成田国際空港のジェット機にちなんだチーム名称「千葉ジェッツふなばし」

――「千葉ジェッツふなばし」の沿革、概要についてご紹介ください。

芳賀さん:2010(平成22)年に発足し、翌年bjリーグに参入して本格的に活動をスタートさせました。2013(平成25)年には、より厳しい環境を求めて実業団チームも混在するNBLへ移籍。両リーグが統合されてB.LEAGUEが発足すると、開幕から4シーズン連続で観客動員数1位を記録しました。

当初のホームタウンは千葉県全体でしたが、B.LEAGUE参入とともに船橋市に定めました。2017(平成29)年からは天皇杯を3連覇し、昨年のB.LEAGUE FINALS 2020-21では初優勝を飾っています。なお、チーム名の「ジェッツ」は、千葉県が誇る成田国際空港のジェット機にちなんで付けたものです。

「千葉ジェッツふなばし」練習拠点「ロックアイスペース」外観
「千葉ジェッツふなばし」練習拠点「ロックアイスペース」外観

新しいホームアリーナも完成予定。熱気高まるゲームに期待

――ホームである「船橋アリーナ」での試合や、ファンの方々との交流などについて、特にこのコロナ禍の中での想いなどをお聞かせください。

芳賀さん:コロナ対策で、現在は選手とのハイタッチや握手、プレゼントの受け渡しなどはNGです。そのため、昨シーズンからオンラインで選手とふれあえる機会を設けています。ファンクラブの特典で、希望者は試合後にZoomなどを通じて選手と話すことができます。とはいえ「直接会えないのは寂しい」という声もあり、申し訳なく思っていますが、コロナ禍にもかかわらず多くの人がアリーナに足を運んでくだることに、感謝の気持ちでいっぱいです。

最近では「船橋アリーナ」も人数制限なくお客様を入れ始めたので、連日ほぼ満員です。歓声こそありませんが、拍手や音出しはOKですし、一緒に戦っているという空気を感じられるので、選手にとって大きなモチベーションになっています。

満員の観客が選手のモチベーションに
満員の観客が選手のモチベーションに

――2024(令和6)年春にホームアリーナ「(仮称)LaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ 東京ベイ)」が完成予定とのこと。期待などいかがでしょうか。

芳賀さん:新しいアリーナができるのはJR京葉線「南船橋」駅の近くで、線路と国道を挟んで「三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY」と隣り合っています。現在のホームアリーナである「船橋アリーナ(船橋市総合体育館)」の収容人数が4,800人。新アリーナは倍以上の約1万人を収容できる大きさで、選手はみんなワクワクしています。スポーツエンターテインメントとして、観客が楽しめる設備が整った、NBAの世界観に近い会場でホームゲームができるのは嬉しいですね。

バスケットボール教室やSDGsへの取り組みで地域の子どもをサポート

――船橋市内の小学校の教科書に「千葉ジェッツふなばし」の活動が掲載されたそうですが、詳しい内容を教えてください。

「千葉ジェッツふなばし」の活動が紹介された船橋市内の小学校の教科書
「千葉ジェッツふなばし」の活動が紹介された船橋市内の小学校の教科書

芳賀さん: 船橋市は「こども未来会議室」というプロジェクトを実施していて、毎年市内の中学校から企画を募っています。SDGsがテーマだった2019(令和元)年度に大賞に選ばれたのが、「船橋市立坪井中学校」の「船橋市の食材を使った料理を「千葉ジェッツふなばし」と共同開発し、地産地消とフードロスに貢献したい」という提案でした。

子どもたちと船橋市と協議を重ね、鎌ケ谷市の東葛食品の協力を得て、昨年3月に「ジャンボ肉まん」が完成。ホームゲームで販売したところ即日完売し、卒業を控えた「船橋市立坪井中学校」の3年生にもプレゼントしました。このことが今年度の小学校の道徳の教科書で、「子ども未来会議室」の取り組みの一例として取り上げられました。

船橋市立坪井中学校に「ジャンボ肉まん」を寄贈
船橋市立坪井中学校に「ジャンボ肉まん」を寄贈

――子どもたちも通えるスクールなどがある「アカデミー」というものがあるとも伺いました。

芳賀さん: ベースにあるのは、地域の子どもたちの健康増進という考えに基づいて、バスケットボールだけでなくチアリーディングのスクールや、ボール遊びを楽しむ「バルシューレ」というドイツ発祥のスポーツプログラムも用意しています。

メインのバスケットボールに関して言いますと、主に小学生以下を対象とした「スクール」、主に中学生を対象とした「クラブ」、未来の「千葉ジェッツふなばし」を担う選手を育成する「ユース」があります。エリートを集めた「ユース」はここ「ロックアイス」が拠点で、U12、U15、U18があります。発足からまだ3~4年なので、大会などはこれから充実していく予定です。

千葉県はスポーツが盛んで、サッカーも野球も体操も強いですよね。「千葉ジェッツふなばし」としては、そういう地盤に寄与することも役割のひとつだと考えています。そのため地域の子どもたちには「千葉ジェッツふなばし」をきっかけに運動を好きになってほしいです。

社会貢献活動で、いただいた支援を地域に還元する

――社会貢献活動も盛んとお見受けします。「JETS ASSIST」について、最近の活動を中心に教えていただけますか。

寄付していただいた食品を困窮している家庭に届ける「フードドライブ」活動
寄付していただいた食品を困窮している家庭に届ける「フードドライブ」活動

芳賀さん:最近はホームゲームのときに、「ブックドライブ」という活動を行っています。読まなくなった本、家で眠っている本を持ち寄っていただいて、地域の児童ホームや学校に届ける活動です。

また、寄付していただいた食品を困窮している家庭に届ける「フードドライブ」の活動は、はじめて3~4年になります。食品はNPO法人「フードバンク船橋」にお渡しし、そこから一人親家庭など食べる物に困っているご家庭に届けられます。残念なことにコロナ禍以降、フードバンクを利用するご家庭が3倍くらいに増えました。寄付いただく食品も増えてはいますが、援助を必要としている人の方が圧倒的に多いのが現状です。

フードバンク活動では、選手も箱詰め作業などを手伝っている
フードバンク活動では、選手も箱詰め作業などを手伝っている

そして、この活動の目的のひとつは、「千葉ジェッツふなばし」が関わることで多くの人にそういった現状を知ってもらうことにもあります。以前この「フードドライブ」の取り組みについて、テレビ番組で紹介されました。すると、その日の試合会場に食品を持った地域の方が10組くらいいらしてくれました。現状を伝えることの大切さを感じましたね。

そもそも「JETS ASSIST」の活動は、前社長で現在Bリーグのチェアマンを務めている島田慎二さんの発案で、2019(令和元)年にスタートしました。「今までは地域から与えられるばかりでしたが、お客さんを呼べるチームになったのだから、これからは還元していかなければいけない。全国にある多くのプロチームが地域の支援を受けているけれど、支えてもらうことが当たり前になってしまったら、そんなチームは、いつか消滅してしまう。自ら地域に貢献する存在にならないと、地域に愛されることは難しい」というのが島田さんの考えです。その想いを継いでやっています。

さまざまな社会課題に取り組むアスリートや団体に贈られる「HEROs AWARD」をB.LEAGUEチームとして初めて受賞
さまざまな社会課題に取り組むアスリートや団体に贈られる「HEROs AWARD」をB.LEAGUEチームとして初めて受賞

社会貢献活動を経験して分かったのは、自分たちだけでやるには限界があるということ。最大のネックは資金やリソースです。そこで現在は、活動に賛同してくださる企業や団体を探すことに力を入れています。パートナーを増やすことで活動の規模を大きくできれば、より多くの人に手を差し伸べられると考えています。

――SDGsの一環としてプロデュースされた、地産地消ビアカフェ「THE OFFCOURT」について、お店の特徴やおすすめメニュー等をお聞かせください。

地産地消ビアカフェ「THE OFFCOURT」外観
地産地消ビアカフェ「THE OFFCOURT」外観

芳賀さん:2021(令和3)年12月にオープンしました。「地場×ジェッツ」というコンセプトで、地域の食材を多く使っているのが特徴です。地元の人には親しみのある味でくつろいでもらい、市外・県外から来た人には船橋や千葉の味を知ってもらいたいと考えております。

おすすめは、船橋の特産品であるホンビノス貝を使ったピザとパエリア。本当においしいですよ!ドリンクも「フィロコフィアのコーヒー」や「船橋ビール醸造所」など地元の店が提供しています。また、月替わりで「千葉ジェッツふなばし」の選手とのコラボメニューを楽しめます。各選手のアイディアが盛り込まれているので、ぜひチェックしてみてください。「千葉ジェッツふなばし」の試合を大きなスクリーンで観ることもできます。

地元の特産品を使ったピザとパエリアがおすすめ
地元の特産品を使ったピザとパエリアがおすすめ

バスケットボールやスポーツを愛する市民の熱い気持ちが、船橋の魅力

――「千葉ジェッツふなばし」の皆様から見た、ホームグラウンドとしての船橋市の良さを教えてください。

芳賀さん:市民の方のバスケットボール熱が熱いこと、スポーツへの関心が高いことですね。そして、ホームタウンである船橋市が非常に協力的で、創設当初から全面的にバックアップしていただいている点も大きいです。松戸徹市長をはじめ、スポーツに対して非常に大きな理解を頂いています。年間を通して「千葉ジェッツふなばし」が「船橋アリーナ」を使えるのも、船橋市の協力があってこそ。本当に感謝しています。

「千葉ジェッツふなばし」のホームアリーナ「船橋アリーナ」
「千葉ジェッツふなばし」のホームアリーナ「船橋アリーナ」

支援いただくばかりでなく、地域の困りごとを相談いただくなど「千葉ジェッツふなばし」が協力できる機会も増え、相互に助け合える関係性が築けていると思います。先日、船橋のブランド野菜「船橋にんじん」のPRのためオリジナル出荷箱を作りました。これも船橋市の方やJAの方がお声がけしてくださり実現しました。

――「船橋アリーナ」周辺のおすすめスポットがあれば教えてください。

芳賀さん:たくさんありますよ。「習志野」駅から歩いて行ける「Mama家 (ママヤ)」さんは、チーム創設当初からとても応援してくださっていて、「千葉ジェッツふなばし」の懐かしいポスターも飾られています。住宅街の中にあるダイニングバーで、生パスタが有名です。選手たちもよく行っています。

あと、「北習志野」駅近くの「DINING BAR IRIE (ダイニングバー アイリー)」さん。ジャークチキンがおいしいカジュアルなお店です。ブースターさんたちがよく行く居酒屋として知られている「北習志野」駅近くの「びんすけ」さんもおすすめです。炭火焼きの串焼きを出しています。それから、大野篤史ヘッドコーチが好きなカレー店「MOTO CURRY (モトカレー)」が北習志野にあります。

――最後に、地域の方へのメッセージをお願いします。

期限付きプロ選手契約をしたジャンボくん・ふなっしーと一緒に
期限付きプロ選手契約をしたジャンボくん・ふなっしーと一緒に

芳賀さん:「千葉ジェッツふなばし」は、100年続くクラブを目指し、「千葉県をバスケットボール王国にすること」というビジョンを持ち、「千葉ジェッツふなばしを取り巻くすべての人とともにハッピーになる」という理念のもと、活動しています。今後も地域を盛り上げるため選手たちとともに全力で頑張っていくので、応援よろしくお願いします!

さまざまな取り組みで地域に貢献、船橋市のプロバスケットチーム「千葉ジェッツふなばし」
さまざまな取り組みで地域に貢献、船橋市のプロバスケットチーム「千葉ジェッツふなばし」

株式会社千葉ジェッツふなばし

広報 / STAR JETS・ジャンボくん マネージャー 芳賀 宏輔さん
住所:千葉県船橋市湊町2-3-17 湯浅船橋ビル6F
電話番号:047-401-4084(代)
URL:https://chibajets.jp/
※この情報は2022(令和4)5月時点のものです。