スペシャルインタビュー

地域や保護者と積極的に連携。日常的な多世代交流で情操を育む「市川市立第七中学校」

東京メトロ東西線「行徳」駅と「妙典」駅のほぼ中央に位置する「市川市立第七中学校」は、市民ホールや保育園、デイケアサービス施設が合築されたユニークな造りの中学校です。保育園児からお年寄りまでの多世代が利用する施設ということで、中学校の活動や教育にもこの施設ならではの一面がみられます。また、「コミュニティスクール」として地域との関わりもより密接になっており、連携した取り組みも充実している点が特徴です。
今回はこちらで校長を務められている新部先生を訪ね、中学校の概要や施設・地域との関わりなどについて、お話をお聞きしました。

新部先生
新部先生

複数の公共施設が合築されたユニークな中学校

――まず、学校の歴史と沿革について教えてください。

新部先生:本校は1962年4月に当時の「行徳中学校」と「南行徳中学校」を統合して開校した中学校です。2019年度時点の生徒数は864名、教員数は64名で、市内では2番目に大きな規模の中学校となります。
建物自体は、市の「ふれあい施設」として整備されており、デイサービスセンターと「すえひろ保育園」が同じ施設内に併設されています。その隣には「I&Iホール」という市民ホールが併設されており、特徴的な複合施設となっています。

(※1)公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法。(内閣府HP、内閣府の政策「民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)」より)

中学校外観
中学校外観

保育園児からお年寄りの方まで、幅広い世代の方々の存在が身近なこの環境は、生徒の情操をより一層養うことのできる環境であるとも思います。

広々としたグラウンドでは、併設された保育園の園児たちも遊ぶ
広々としたグラウンドでは、併設された保育園の園児たちも遊ぶ

また、全ての教室には62インチのテレビやプロジェクターに加え、冷暖房も備えられているという充実ぶりです。図書館は2クラスが同時に授業を展開できるほどの広さを誇ります。

明るく開放的な校内
明るく開放的な校内

市川市の幼・小・中・義務教育・特別支援学校では現在「コミュニティスクール化」が進められています。「コミュニティスクール」は、「学校が地域と一体となって子どもたちを育てていこう」という考え方に基づくもので、実際に地域の方々にも協議会の委員としてご参加いただいています。こういった流れも踏まえ、本校は地域との交流活動を非常に重要視しています。

――地域の方々と交流する機会が多いと、「見守ってもらっている」と生徒たちが実感し、安心できるきっかけになりそうですね。
教育目標についてもご紹介いただけますでしょうか。

新部先生:教育目標は「豊かな心を培い、たくましく生き抜く力を育てる」です。「不易」の部分と「流行」の部分との意味を併せ持った言葉になっています。挨拶や思いやりの心といった「不易」の部分が「豊かな心を培い」の箇所に込められています。「たくましく生き抜く力」が「流行」の部分で、時代に流されず、主体性をもって順応できる力を付けていきたいという思いが込められています。

教育目標
教育目標

また、これらの具現化・達成に向けて「生徒たちにとって心の居場所となる、穏やかな教育環境づくり」というサブタイトルを付けています。学校はもちろん、地域や家庭も生徒たちにとっての居場所、教育の場となるよう、互いに協力して環境を整えているところです。「コミュニティスクール」へ移行したこともあり、地域と一緒になって子どもたちを育てていきたいと思っているので、本校としても子どもたちが地域に出ていく機会は積極的につくるよう心がけています。

――部活動もかなり盛んで、いろいろな大会で優秀な成績を収めているとお聞きしました。

新部先生:2019年度は、柔道部が全国大会出場、男子バレー部が関東大会出場、野球部とソフトボール部が地区大会優勝、文科系でも、吹奏楽部が県の吹奏楽コンクールで金賞獲得と、どの部活も一生懸命に頑張ってくれました。運動系、文化系問わず、部活動が活発で優秀な学校です。

好成績を収めた部活動の数々のトロフィーが並ぶ
好成績を収めた部活動の数々のトロフィーが並ぶ

複合施設の中にある中学校ならではの魅力がたくさん

――施設内にあるデイケアセンターや保育園との交流はありますか?

新部先生:建物の中にある施設同士が連携して取り組む活動は「ふれあい活動」として位置づけられています。
毎年実施しているものには「合同避難訓練」があります。本校の生徒をはじめ、お年寄りの方、保育園児、I&Iの方などが全員一緒になって取り組む避難訓練です。通常の中学校の避難訓練であれば、生徒が避難できればそれで完了ですが、本校の場合、自分の避難が済んだら、校舎に戻らずに済む安全な範囲で、遅れて避難して来るお年寄りの方の車いすを押してあげたり、保育園児の手を引いてあげたりと、この施設ならではの優しい場面がみられます。
他にも、デイケアセンターの敬老会の時に吹奏楽部がお祝いにかけつけて演奏を披露したり、3年生が保育園に保育実習でお世話になったり、保育園の運動会には生徒が運営ボランティアとして参加したりと、いろいろと連携させていただいています。本校の「ふれあいランチルーム」という部屋で、お年寄りの方々と一緒に給食を食べる日もあります。

「ふれあいランチルーム」では中学生とお年寄りが一緒に給食を食べる場面も
「ふれあいランチルーム」では中学生とお年寄りが一緒に給食を食べる場面も

――多世代と交流する機会が多い環境は、豊かな感受性・情操の醸成にもつながりますよね。施設の外における地域との関わりはいかがでしょうか?

新部先生:地域でのボランティア活動も積極的に推進しています。特に最近は、コミュニティスクール化によって、より連携が深まっています。ボランティアには、子どもたちから進んで手が挙がってくる理想的な状態が作られています。強制でないにも関わらず、多くの子どもたちが参加していますね。こういった点は、子どもたちの主体性の育成にもつながっていると思います。
実際、子ども会の運動会や地域のお祭り、地域のイベント、デイケアセンターのカラオケ大会の司会進行、また、保育園や幼稚園の運動会ボランティアなど、かなり幅広い場面で活動しています。

――中学生のうちから地域のイベントや運営、ボランティアに携わるという経験は、生徒たちの自信や挑戦する姿勢、創造力の養成などにもつながってくるのですね。

新部先生:地域との連携という点でいうと、毎年12月には「地域交流会」を実施しています。今年は生徒が居住する自治会毎に1年生から3年生までの縦割り班で「集団下校訓練」をしました。ただ一緒に下校するだけではなく、地域に帰ると自治会の方々が迎えてくださるという点がポイントでして、そこでは、一緒に行う活動が設けられていて、生徒と地域の方が共に交流活動をするといったユニークな取り組みです。例えば、神社があればその歴史を話してもらったり、公園の掃除や花壇の整備をしたり、という感じです。「地域の一員」としての自覚を持つきっかけにできたという点で、この活動は自治会の方々にも好評でしたし、子どもたちにとっても地域の人たちと交流を深めることで、何かあった際に声を掛け合って助け合うことに対するイメージができたと思います。

様々な地域交流活動を実践
様々な地域交流活動を実践

――生徒たちにとっても、地域の方々に声をかけてもいいんだ、何かあった時には助けを求めてもいいんだ、と安心できる街であることを実感できる機会になりそうですね。
PTAと連携した取り組みについてはいかがでしょうか。

新部先生:職業学習の際には「地域コーディネーター」という方々とPTAが連携し、子どもたちにより充実した学びを提供するため、地域から様々な職業の方々を募り、職業に関する話をしてもらう機会をつくっていただいています。また、「学習ボランティア」という形で放課後に学びのサポートをしていただいています。今後は、家庭科の調理実習の時や技術科の授業の時などに補助に入っていただくことも考えています。

“複合施設の中にある”という本校ならではの特徴を活かしつつ、冒頭でも申し上げた通り、地域や保護者と一体となって協力しあうことで、子どもたちがより深く学べる環境を整えていきたいと思っています。

――最後に、校長先生が感じるこの地域の魅力を教えてください。

新部先生:行徳は古くからの寺町で「神輿(みこし)の町」でもあります。お寺や古い街並みが多く残っていますし、伝統舞踊が地区ごとにあるなど、お祭り関係の行事がとても多いですね。そういった昔ながらの情緒や伝統が残っている地域なので、郷土愛も育みやすいと思います。
近くには公園もたくさんありますから、散歩やジョギングをするのにもいい場所です。「江戸川花火大会」も、このあたりからはよく見えるんですよ。そういった土地だからこそ、子どもたちの感受性は養われますし、のびのび遊べて、子育てにも向いている地域だと思います。

新部校長先生
新部校長先生

市川市立市川第七中学校

校長 新部 操(にべ みさお)先生
所在地:千葉県市川市末広1-1-48
電話番号:047-357-3183
URL:https://ichikawa-school.ed.jp/dai7-chu/
※この情報は2020年3月時点のものです。