八千代市立八千代台西中学校 斎藤新一校長先生インタビュー

“子どもの主体性”を大切にする「八千代市立八千代台西中学校」

八千代台は千葉県最初の住宅団地として、昭和40年代~平成にかけて開発された街。京成電鉄本線「八千代台」駅の東西に広がる商店街を学区とする八千代台西中学校では、生徒たちが自らプロジェクトを組み、様々なイベントや行事を主体的に行っています。そんな「西中」の日々の教育活動や街の魅力について、斎藤校長先生に伺った。

斎藤校長先生
斎藤校長先生

――学校の沿革・概要についてお聞かせください。

斎藤校長先生:本校は八千代台の急速な人口増加を受け、八千代中学校に同居する形で1975(昭和50)年4月に開校しました。翌年3月にはこの場所に新校舎が建設されて、転居しています。

八千代市立八千代台西中学校
八千代市立八千代台西中学校

八千代台地域は1965(昭和40)年頃から首都圏の衛星都市として宅地開発され、発展してきた街。一戸建ての住宅団地として造成されたことから、今でもマンションや集合住宅よりも一戸建てから通う生徒の方が多いようです。開発開始から45年以上が経ち、生徒数はピ-ク時に比べ半分以下になりました。ここ数年の生徒数は横ばいです。現在3学年各4クラスあり、1年生145名、2年生121名、3年生141名の全校407名の生徒が在籍しています。

廊下
廊下

――教育目標について教えてください。

斎藤校長先生:「気力あふれ、知性と行動力豊かな生徒の育成」という教育目標は、創立以降変えずに大切に守ってきたもので、私も赴任した際に「喧々諤々の議論を交わして非常に苦労して決めた教育目標」と前校長から引き継いで聞いております。とてもよい教育目標だと私も感じています。

――「西中の4本柱」とはどんな取り組みなのでしょうか?

斎藤校長先生:日々の教育活動で最も大切にしているのは授業ですが、生徒会を中心に生徒たちが「挨拶」「清掃」「歌声」「部活動」を4本柱として大切にしています。「挨拶」は各学年や委員会、部活動などで挨拶キャンペ-ンなども行っています。その甲斐あってか、キャンペーン中でなくても、毎日明るく元気のいい挨拶をしてくれる生徒が大変多いです。

「歌声」は歌声集会や合唱コンクールなどの行事のほか、朝の会・帰りの会で毎日2回は必ず合唱を行います。今はコロナウィルス感染防止のため、音楽の授業も含め一切歌うことができません。

また本校では「無言清掃」を行っており、清掃中は誰も一言も話さずに黙々と清掃に取り組みます。フロアリーダーを中心に決められた場所以外でも,時間内に各自が汚れた場所を見つけてきれいにする「気づき清掃」を大切にしています。「部活動」も、生徒主体で部長を中心に熱心に取り組んでいます。

賞も多くの部が受賞している
賞も多くの部が受賞している

 

「挑戦してみよう」を合言葉に!

――先生が特に力を入れて取り組まれているものはありますか?

斎藤校長先生:子どもたちには、とにかく「失敗を恐れずに挑戦しよう」と日々の教育活動のなかで伝えています。赴任して3年目ですが、3年生が1、2年生に「思い切って挑戦するといいよ」「やってみた方がいい」とアドバイスしているのを聞くと、子どもたちの間にも浸透してきたなと感じますね。委員会や行事のリーダーになると校長室まで挨拶に来てくれますが、その際も、何に挑戦したいかを聞くようにしています。

やはり「思い切ってやってみた」→「楽しかった・やりがいがあった」というプラスのサイクルが回り、「また次も挑戦してみよう」と前向きになるのでしょう。能動的かつ積極的な子どもたちの行動力・発想力には私もいつも驚かされます。行事も「自分たちで作る」という意識が非常に強く、教職員はアドバイスやサポートに徹して、とにかく生徒を前面に出して活動させるよう心がけています。

校内の様子
校内の様子

――年間の行事の様子はいかがでしょうか。

斎藤校長先生:本校は卒業式・入学式・合唱コンクール・体育祭といった行事から、毎日の清掃・部活動まで、生徒主体で取り組むものが多く、子どもたちは実に能動的によく動きます。そして何よりリーダーに立候補する生徒の数が多くて、投票で決めないといけなくなるほど積極的です。

同時にリーダー経験者が多く、リーダーの大変さや苦労を知る生徒も多い。リーダーを盛り立て、協力しようという意識がフォロワ-を育て集団としての質を高めます。また、人の話を「聴く力」と「自分の言葉で話す」ことを大事にしています。リーダーとフォロワーの双方が前向きで強い協力関係があるので、行事や学級活動も充実してくると思います。

――卒業式もプロジェクトを立ち上げて運営するんですね。

斎藤校長先生:はい。東日本大震災で卒業式が急遽中止になった2011(平成23)年に小学校6年生だった生徒が、本校で卒業式を迎えた3年後。彼らにとって初めて体育館で行う卒業式を一生忘れられない温かい卒業式にするために、生徒による手づくりの卒業式をめざして「卒業式プロジェクト実行委員会」が立ち上がりました。「どんな卒業式にするのか」「在校生への願いはなにか」を卒業生が考え、式の練習から下級生への指導、当日の進行・運営までを生徒が行います。

卒業式の様子
卒業式の様子

式中に登壇する大人は私の式辞と来賓からの告示・祝辞のみです。基本的に式の進行役や歌の指揮・伴奏・来賓紹介も生徒。文字通り卒業生による手づくりの卒業式です。

自分たちで考え、つくり上げた卒業式を経て巣立っていく卒業生はさぞかし感慨深いでしょう。このプロジェクトは本校の新たな伝統として、代々後輩たちに伝承されています。入学式も、式の運営はもちろんですが、新入生が登校してきて教室での練習・動きの確認をして、入学式を行い、下校するまですべて3年生のプロジェクトチームが行います。1年生の担任の先生方は、式が終わるまでひたすら見守るのみです。

体育館
体育館

――合唱コンクールや体育祭も生徒主体で動くのでしょうか?

斎藤校長先生:はい、そうです。合唱コンクールは各クラス・各学年のパートリーダー(ソプラノ・アルト・テノール・バス)を決め、3年生の全校パートリーダーが中心となり、全校を動かしています。彼らがリーダーとなって率先してクラス練習、学年練習、全校練習などを行います。コンクール当日は、バスをチャーターして市民会館大ホールに行き発表します。

合唱コンクールの様子
合唱コンクールの様子

このほかにも全校の歌声集会もあり、毎日朝の会・帰りの会でも歌うという歌(合唱)を大切にしている学校です。市内音楽会にも積極的に参加しており、学校代表80名のところ、希望者が170名も集まった年もあります。毎年オーディションで代表を決めています。生徒たちの歌への取り組み方が真剣で、歌声にも迫力があって感動します。

ポスターからも生徒の熱意がうかがえる
ポスターからも生徒の熱意がうかがえる

体育祭は縦割りで3分団に分かれて、競技と応援の両方で競い合います。昨年の応援合戦では感染症対策で声が出せなかったので、曲に合わせて踊って隊形を変えたり、旗や扇などの小道具をうまく使って、創意工夫をしたパフォーマンスを披露していました。

体育祭の様子
体育祭の様子

また、時間短縮と密を避ける種目への変更も大きなテーマでしたが、実行委員たちが知恵を絞って密にならない面白い競技種目に変え、例年以上に真剣に取り組みかつ楽しめる体育祭になったと思います。時間短縮はこれまでなかなかできなかった部分にもメスを入れて改善されたので、来年以降もスピーディな運営ができるはずです。

体育祭の分団ごとにも旗があるそう
体育祭の分団ごとにも旗があるそう

 

コロナで活用が進んだICTには学びも多かった

―― ICT機器の積極的な活用をされているとのことですが、詳しくお伺いできますか。

斎藤校長先生:2018(平成30)年よりICT教育の推進指定校になり、通常授業のなかでどう効果的に使い、主体的な学びにつなげるかに取り組んできました。電子黒板は日常的に使われるようになりました。また、どの教科でも電子黒板やタブレットの使用頻度が高くなり有効活用できるよう試行錯誤しています。また、昨年はコロナウィルスの影響で学年集会や全校集会、生徒総会などができなくなり、図らずも電子黒板やICTルームとのインタラクティブなやり取りが役に立ちました。 例えば生徒総会では、ICTルームがテレビ局のスタジオ代わりになり、生徒会が様々な議題をICTルームから発信し、各教室の生徒たちと審議。承認は「いいねボタン」などを活用して決を取りました。

ICTルーム
ICTルーム

予餞会(卒業生を送る会)も例年のように全校が体育館に集まることはできないので、下級生の各教室と3年生が集まる体育館をオンラインでつなげて、クイズや寸劇の披露などお互いの感謝を伝え合う会を行う予定です。

例年にはない苦労もありましたが、子どもたちが「リモートで行うにはどうしたらよいか」と考える機会も増え、学ぶことも多かったと前向きにとらえています。

――社会情勢が変化し、今後も授業以外でICTが役立つ場面が増えるかもしれませんね。

斎藤校長先生:そうですね。八千代市内の11校ある中学校の校長会も、昨年はリモート中心で行いました。校長同士が話し合う機会が増えたことも良かったのですが、校長室でPCを開けばすぐに会議ができ、より密接に気軽に話せるようになったと感じます。これまでのように場所を取って時間を合わせて集まるよりも時間短縮になり、学校にいれば緊急事態にも対応できるので、これはメリットでしたね。

 

「中学生は頼りになる存在」と地域に知ってもらいたい

――地域の方との関わりや共同で行っていることはありますか?

斎藤校長先生:社会福祉協議会と連携し、毎年1回、西中の体育館が災害時の避難所になったらどうするかを考える避難所運営ゲーム「HUG」を開催しています。

近隣の方100名ほどが学校に集まり、本校では3年生が参加して一緒に考え、実際の動きを想定して動くシミュレーションゲームをします。当日は地域の方と生徒がグループになって、体育館の見取り図を元に「どこを通路にしてレイアウトを組むか」「犬連れの避難者が来たときはどうするか」など、様々な場面を想定して話し合います。「自分たちにできること・大人にできること・協力してできること」を出し合い、実際の災害時に役立つリアルな体験学習・地域の方との交流を行っています。

避難所運営ゲーム「HUG」の活動の様子
避難所運営ゲーム「HUG」の活動の様子

実際の災害時は市役所から人が派遣され、大人たちが避難所運営をするとは思いますが、アンケート結果を読むと「自分にもできることがあるとわかった」「近隣の人たちと顔見知りになる重要さを知った」「中学生は地域から期待されていると感じた」など、多くの気づきや学びがあったようです。

この「HUG」の活動がきっかけになり、「災害時パートナーシップ協定書」を社会福祉協議会と学校、そして生徒会長の間で取り交わしました。これは災害時、教育活動に支障がない範囲で中学生がお手伝いしますという地域との約束です。災害が昼間に起これば、親世代の大人は都心に働きに行っていることが多いので、すぐに動くことは難しいでしょう。その代わり、正しい知識があれば中学生は地域の重要な担い手となり、非常に頼りになる存在になり得る。それを地域の人たちにも理解していただきたいですし、頼りにもしてほしいと思います。

社会福祉協議会と結んだ「災害時パートナーシップ協定書」
社会福祉協議会と結んだ「災害時パートナーシップ協定書」

――地域活性化の動きも始まっているそうですね。

斎藤校長先生:西中の卒業生が代表になっている「八千代台まちづくり合同会社」という有志の団体があり、「八千代台商店街」を活性化しよう、盛り上げようとしています。昨年は「京成バラ園」さんの協力を得て、商店街にバラを植える計画が進んでいて、西中の生徒も参加する予定でした。このほかにも空き家や空き店舗の再生プロジェクトや、「八千代台商店街」のお祭り、地域新聞の編集など面白い企画が目白押しでしたが、すべて延期になっています。

来年は延期になっているイベントや催しができるようになればいいのですが、商店街のPRと活性化に中学生が関われるようになると思います。災害時のパートナーシップもそうですが、地域の中学生は頼りになる存在です。もっと地域とのつながりを深めて、お互いを知る機会を増やしていきたいと考えています。

校庭
校庭

――最後に、八千代台エリアの魅力はどんなところでしょうか?

斎藤校長先生:本校の学区は駅から近いこともあり、比較的都会っぽさのある地区だと思います。学区内には住宅街や商店街、自衛隊の官舎などもあり、通ってくる子どもたちも個性豊かです。その違いをお互い理解して、多様な人たちと交わり合えるよさがあると思います。市内には八千代緑が丘などの新しく開発された街があり、また、本校の学区は習志野市と千葉市に隣接しています。塾や買い物にはそちらを利用したりと、皆さんライフスタイルによって使い分けているのではないでしょうか。。

昭和40~50年代に非常に賑わった八千代台は、現在静かな住宅街になりつつありますが、もっと盛り上げようという気運も出始めています。商店街を中心に、西中の生徒たちや地域の人たちがつながり、街の活性化にも貢献できれば嬉しいです。来年度より、中学校でも新学習指導要領が完全実施になります。「社会に開かれた教育課程」の実現が一つのキーワードになっています。よりよい学校教育がよりよい地域・社会を創れるように積極的に地域と連携・協働していきたいと考えています。そのことが、未来を生きる子どもたちの資質・能力の向上にもつながると思います。

八千代市立八千代台西中学校
八千代市立八千代台西中学校

斎藤新一校長先生"
斎藤新一校長先生"

八千代市立八千代台西中学校

斎藤新一校長先生
所在地:千葉県八千代市八千代台西7-23-3
電話番号:047-482-0915
URL:https://www.yachiyo.ed.jp/jyachinisi/
※この情報は2021(令和3)年2月時点のものです。